オンディーヌ: 2010年10月アーカイブ

いよいよ10月8日に開幕が迫った、第9回アンサンブル公演『オンディーヌ』。

演出のペーター・ゲスナー、人形操演指導&キャストの黒谷 都さん、キャストの真那胡敬二さん、そして演出助手の笠原真志さんに、せんがわ劇場版『オンディーヌ』について、熱く楽しく語っていただきました!

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――せんがわ劇場で、人間と人形が共演!?

ゲスナー せんがわ劇場は東京でも数少ない、人形演劇にぴったりの劇場です。2011年3月には第2回人形演劇祭が開催されます。それにつなげるためにも、わたしが演出するアンサンブル公演の舞台で、ぜひ人形をつかってみたかったんですね。命のない「モノ」に命を吹きこむ「マジック」に、演出家として大きなあこがれを抱いていましたし。

黒谷 わたしは人形演劇の人間であり、人形にべったりな人間。だから小道具の延長線上として人形がつかわれることには納得できないし、すごくつらい。演出家のなかには、人形に興味はもったけれど、いざつかってみて、思ったほど自由がきかないとか、思ったほど効果的じゃない、と捨ててしまう人もいます。でもゲスナーさんは、自然という大きな懐のなかの人間の小さな存在を人形で表現したい、という逆転の発想で人形をつかいたいとおっしゃったんです。その発想を通すと、進行上、複雑になるシーンもあるけど、筋を通さないとね、と。見た目のおもしろさで特殊技能者を欲しているのではない、と信じられたので、今回ご一緒させていただくことにしたんです。

真那胡 『オンディーヌ』の第1幕では、オーギュストとユージェニーが人形になることで、人間の存在の小ささと、それを取り巻く世界の大きさの対比がよく表れていますね。

笠原 水の精が高いところから出てくることで、その大きさが強調されます。

真那胡 そう、視覚的にわかりやすい。

ゲスナー 子どものとき外を歩いていて、ふと、「空からだれかに見られてる!」と思うことがあったんです。今回の芝居には、そのときのイメージが反映されています。

黒谷 今回のお芝居では、クラシックな人形繰演が行われます。それはふだんのわたしのスタイルとはちがうので、ちょっとつらいところもありました(笑)。

ゲスナー そうかもしれませんね。でも、すでに人形演劇界で活躍しているキャストの塚田さんにしても、基本的な人形繰演を経験しておくのは悪いことじゃないと思います。

黒谷 原点ですからね。

真那胡 ぼくははじめて芝居で人形を遣ったとき、いやでしたね(笑)。だって、前を向いて演技しなきゃならないのに、横で人形も遣わなきゃならないんですから。

黒谷 真那胡さん、今回のお芝居でも少し人形を遣いますが、お上手です! 手首がやわらかいところがいいんですね。オーギュスト役の林さんも、人形演劇の舞台でご一緒したいと思わせてくれます。ただ役者さんにとって、人形を遣うことは、たしかにストレスになるでしょうね。


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――ハンスはハンサムな騎士ではない!?

真那胡 40年くらい前に劇団四季の『オンディーヌ』を観てすごく感動したんですが、まさしく美男美女の悲恋物語という印象でした。ところが今回、ゲスナーさんがハンス役に井上さんを選んだことを知り、「こう来たかー!」と(笑)。

ゲスナー オーディションに集まった人たちのなかで、井上さんには存在感があったんです。

黒谷 とにかくよろいが似合ってました! それが決め手。

ゲスナー 耳も印象的だし。こんなことをいうのは申しわけないけれど、彼のハンスはけっしてハンサムではありません(笑)。でも、逆にそこがおもしろいと思って。人間から見たらハンサムじゃなくても、自然の化身であるオンディーヌから見たら、「きれい」なんです。そういうことって、あるでしょ? 一般的には「醜い」と考えれているものが、「かわいい」と表現される場合もある。それにジロドゥも、もともとそういうコンセプトでこの作品を書いたんじゃないかな。ほんとうは、ハンサムではない人がハンスを演じなければならない作品ではないかと思うんですよ。

笠原 たしかに、そう思わせるようなセリフがたくさんありますよね。


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――過去最高のアンサンブルが集結!

真那胡 アンサンブル公演への出演はこれで3回目になります。0番目企画のときからのおつきあいですが、あのときは、オーディションの面接からゲスナーさんとご一緒したんですよね。笠原さんが受けに来たときはビックリした(笑)。

笠原 そうなんです。最初のオーディションを受けてせんがわ劇場アンサンブルに加わり、何度かゲスナーさんのアシスタントとして経験を重ね、いまにいたっています。

ゲスナー あのときは、がちがちに緊張してましたね(笑)。

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笠原 今回アンサンブルとして集まった人たちは、俳優もスタッフも、すごくよくはたらいてくれていますね。過去のアンサンブル公演のなかでも、いちばんいい雰囲気じゃないかな。

ゲスナー 「これぞせんわが劇場のアンサンブル公演!」という理想的なイメージですね。それに俳優はほとんどが新人ですが、真那胡さんのようなベテラン俳優がみんなにアドバイスしてくれたりして引っ張ってくれるので、とても助かります。

笠原 今回は作業が多いこともあるのか、「みんなでつくろう」感が強い。

ゲスナー 必要に迫られて人形をみんなで手づくりしていて、それはそれでたいへんなんだけれど、逆に結束を固めることにもつながって、よかった。それに稽古で本番の舞台をたびたびつかったり、劇場で作業するうち、「ここは自分たちの劇場だ」という意識がみんなの心に浸透していきました。

黒谷 それにしても、舞台初体験の新人俳優さんたちにとって、ここまで劇場でべったり稽古できるなんて、すごいことですよね。

笠原 ほかにはあまりない、ぜいたくな環境です。みんな、そのことをわかってくれてるといいんだけど(笑)。

真那胡 これからほかの現場をいろいろ経験するだろうから、そこでいやでも実感すると思いますよ(笑)。


――ペーター・ゲスナーの演出力に注目!

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黒谷 この公演の見どころは、ズバリ、ペーター・ゲスナー氏の演出力! ゲスナーさんが、市民を巻きこんだアンサンブル公演で、人形という要素も取りこみつつ、どれだけ本格的な演劇をつくりあげたのか、ぜひ注目してほしいです!

真那胡 昔観た『オンディーヌ』とは、翻訳もコンセプトもちがう、せんがわ劇場ゲスナー版『オンディーヌ』を、とことん楽しんでほしいですね。

笠原 ゲスナーさんの演出助手を務めるのはこれで3本目になりますが、彼の演出はとにかくおもしろい! 突拍子もない発想がぽんぽん飛びだしてくるんですから。

黒谷 そう、ぴょい~んとね(笑)。

ゲスナー 人形と人間が共演するこの舞台を観て、興味をおぼえた観客の方がいらっしゃったら、ぜひ来年3月に開催される人形演劇祭にも足を運んでほしいですね!

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ペーター・ゲスナー Peter Goessner…………演出
調布市せんがわ劇場芸術監督。
1962年、旧東ドイツ・ライプチヒ生まれ。ライプチヒ大学で演劇学修士取得。1993年来日。1995年「うずめ劇場」設立。2000年9月第1回利賀演出家コンクールで最優秀演出家賞受賞。2001年北九州市市民文化奨励賞受賞。現在、桐朋学園短期大学演劇専攻科准教授。

 

黒谷 都 Kurotani Miyako …………人形繰演指導/「皿洗いの女」役/ハンス人形の遣い手
芸術性の高い人形演劇の第一人者。「genre:Gray 利己的物体と奉仕的肉体によるグロテスク」の名のもと、国内外で独自の活動を続けている。せんがわ劇場アンサンブル第7回公演『人形演劇“銀河鉄道の夜”』作劇・演出。今回は役者の人形繰演指導にあたると同時に、ちょっとだけ出演もしている。


真那胡敬二 Manako Keiji …………「水の精の王」役
オンシアター自由劇場出身。コスモ・プロジェクト所属。『上海バンスキング』等、数多くの舞台や映像作品で活躍。ペーター・ゲスナーとは古いつきあいで、せんがわ劇場アンサンブル結成時からその活動に深くかかわっている。0番目企画『時の物置』、第5回公演『星の王子さま』に出演。今後の予定:11月17日より『さくらのそのにっぽん』(シアターX)に出演。


笠原真志 Kasahara Masashi …………演出助手
劇団「風煉ダンス」主宰。せんがわ劇場アンサンブルのリーダー的存在として、開館以来、劇場の活動に深くかかわる。2009年12月、せんがわ劇場の演劇招待公演・親と子のクリスマスメールヒェン『アンデルセンの卵』を演出。

 

写真:大菊健太(アンサンブル)

取材:大野晶子(アンサンブル)

さて、つぎはわきを固める愉快なメンバーを紹介しましょう!

第1の漁師と貴婦人役の吉成淳一さん、第2の裁判官役の菊地隆之さん、第2の漁師と貴婦人役の畠山健さん、そして豚飼い役の船越桂さんです。

みなさん陽気で気さくな方で、楽しくおしゃべりさせていただきました!

 

 

吉成 淳一(よしなり じゅんいち)……第1の漁師/貴婦人

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ペーター・ゲスナーという演出家に興味を抱き、『オンディーヌ』オーディションに応募したという吉成さん。
2007~2009年、燐光群に在籍していたとき、せんがわ劇場の招待公演『ローゼベルント』にも出演したそうです。

「『ローゼベルント』に出演したおかげで、せんがわ劇場になじみがあったのもオーディションを受けた理由のひとつです。それに『オンディーヌ』という作品自体、いろいろな意味でおもしろい。コメディというか、ナンセンスギャグみたいなものもあって。笑える作品ですね」

さて、今回の役どころですが、第1の漁師という役はともかく、貴婦人というのは!? 
「男の貴婦人もおもしろいんじゃないか、と(笑)。口紅はもちろんのこと、本番ではカツラもつけて、もっともっとつくりますよ!」

せんがわ劇場アンサンブルに参加しての印象は?
「みんなであれこれやるのが楽しいですね。役者でありながら、大道具や小道具にもかかわれるのがうれしいです」

いまではすっかり通い慣れた仙川の町は、商店街が充実しているのが魅力とか。
「つい買いものに行きたくなりますね(笑)」

ブログをご覧になっているみなさんに、ぜひ『オンディーヌ』のアピールを!
「とってもすてきな物語です。出演するぼくたちも楽しんで演じているので、みなさんにも楽しんでいただけたらと思います」

 

 

菊地 隆之(きくち たかゆき)……第2の裁判官/水の精の遣い手

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今回のオーディションの募集チラシを、習っているジャズダンスのスタジオで発見し、「これはおもしろそうだ」と応募した菊地さんです。
「自分に向いてるかも!と」

菊地さん演じる第2の裁判官は、ちょっと不思議な登場のしかたをするかもしれないそうですが?
「もしかすると、ギターをかき鳴らしての登場になるかもしれません」

ギター!? それは、なぜ?
「オーディションの応募書類に貼付したプロフィール写真が、ギターを持ってる写真だったんです。それを見たゲスナーさんが、せっかくだから一度稽古場に持ってこい、と」

まさか「流し」の裁判官?
「奏でる曲は、第1の裁判官役の山本さんとの合作なんです(笑)。弾き語りが好きなんですよ」

仙川という町と、せんがわ劇場アンサンブルの印象を聞かせてください。。
「仙川は、すごく暮らしやすそうな町。そんな町で、アンサンブル・メンバーとして、みんなでひとつのものをつくる一体感がいいですね!」

「ぼくにとっては、これが舞台初体験です。すごく楽しんで見ていただける作品だと思いますので、ぜひせんがわ劇場にお越しください!」
日々、心が豊かになるのを感じているという菊地さん。みなさん、ぜひ菊地さん演じる、不思議な裁判官にご注目ください!

 

畠山 健(はたけやま たける)……第2の漁師/貴婦人/大魚、水生生物の遣い手

 

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現在も俳優の養成所に通って演技の勉強中だという畠山さん。ぜひ人前で演じる機会がほしい、という思いから、オーディションにチャレンジしたそうです。

第2の漁師という役どころは?
「オンディーヌをつかまえる漁師なんですが、浮かれ騒いでばかりで、まわりの話をまったく聞かないやつなんです(笑)。楽しくやらせてもらってます」

せんがわ劇場アンサンブルに参加してみてのご感想をお聞かせください。
「こういう形もあるんだな、と思いました。演劇の世界というのは、なかなか簡単には入りこめない世界ですよね。だから興味のある人がこういう形で参加できるシステムは、なかなかいいと思います」

一見、おとなしいイメージの畠山さんですが、お話をうかがっていると、ときおり揺るぎない決意のようなものがパンッと伝わってきて、はっとさせられます。
今後の予定はとくに決まっていないそうですが、役者道をばく進する、ときっぱり!
せんがわ劇場での初舞台を足がかりに、ぜひ大きく羽ばたいてほしいと思います。

『オンディーヌ』の見どころをみなさんに語ってください!
「たくさんキャストが出ていて、いろいろ個性的なことをしているので、いろいろなところに目を向けてください! また、美人揃いの貴婦人にもぜひご注目を♪」

 

 

船越 桂(ふなこし かつら)……豚飼い/貴婦人人形、鱒の遣い手

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あるワークショップに参加していたとき、たまたまそこに来ていたペーター・ゲスナーにオーディションのことを聞き、応募したという船越さん。

今回の役どころは、陽気な豚飼い!
「最初、豚飼いというのは老人役だと思っていました。でもいまは、読みかたによっては少年にもなりえるかも、と思っています。そこで、明るくて元気な少年の豚飼いをイメージしつつ、役づくりに励んでいます」

東京乾電池付属の養成所「アクターズラボ」で、1年間演技を学んできたことが、今回の舞台でどのように生かされるのか、楽しみです!

仙川という町の印象は?
「商店街があるすてきな町だと思います。住んだらすてきでしょうね。引っ越したくなりました(笑)」

 

せんがわ劇場アンサンブルは、時間がある人がなんでもするのが基本。船越さんは、そんなところが気に入ったようです。
「役者は役者の仕事しかできないと思っていたのが、ここのアンサンブル公演では、小道具や衣裳づくりにかかわれるんですね。やってみたい!という気持ちを尊重してくれるなんて、すてきだと思います」

これからも、いろんな人と出逢って成長していきたいそうです。
「稽古の中で、オンディーヌがどんどんきれいになっていくのを間近で見ています。すてきな舞台です。出番は少ないですが、豚飼いさんも見にきてください!」

写真:大菊健太(アンサンブル)

取材:大野晶子(アンサンブル)

 

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