2014年5月アーカイブ

今年度で6年目を迎えた「サンデー・マティネ・コンサート」。5月11日に行われたvol.124≪世界の楽器シリーズ「アルパ」≫の様子をライターであり、市民サポーターでもある才目さんによるレポートをお届けします。

「サンマチ」の愛称で市民に親しまれている「せんがわ劇場サンデー・マティネ・コンサート」
(マティネはフランス語で「午前」の意味)。

本年度、金管5重奏の晴れやかなファンファーレ&演奏で幕を開けた「サンマチ」は、劇場開館7周年を迎え、通算120回をこえる公演を続けてまいりました。まさに「継続は力なり」。演劇とならび、音楽文化の普及育成と発信に取り組むせんがわ劇場を代表する事業のひとつです。毎回いらっしゃる“常連”のお客様、ご家族連れのお客様もおいでになり、市民の期待の高さを感じる恒例プログラムとなっています。



arupa.jpgのサムネール画像
●中南米生まれのハープ「アルパ」を弾き、歌う

さて、5月連休明けの「サンマチ Vol.124 」は、「アルパ」というハープの一種を弾きながら歌を歌う、アルパ奏者にして声楽家である池山由香さんのご登場です(当劇場には2回目の出演)。今回もおかげさまで満席となりました。

ハープというと優美なグランドハープを思い浮かべます。一方、「サンマチ」で2013年暮れにご紹介したアイリッシュ・ハープという小振りなハープがあります(当ブログ過去記事ご参照ください)。「アルパ」はこれらの中間の大きさ。重さは10キログラム程度。中南米生まれのハープで、ラテンハープあるいはインディアンハープとも呼ばれます。

パラグアイ産のアルパを携えて颯爽と登場された池山さんは、その衣裳も素敵です。メキシコ南部チアパス州の手縫いの刺繍で、ひまわりや鳥をあしらった鮮やかな緑のワンピース。サーッと、舞台に晴天の5月、新緑の風が吹き渡るようでした。

1曲目は「美しい空」を意味する「シェリト・リンド」(コルテス作詞作曲)の演奏と歌唱。「アイ・アイ・アイ・アイ...」という美しい娘への呼びかけが入るこの曲で、アルパの魅力と池山さんの歌唱力が炸裂します。

指の爪で弾くアルパの音色は、実に壮快で、一聴して中南米の民族楽器的な味わいを濃厚に感じさせます。高い方の音は可憐で華やか。低い方の音はアルパの胴がしっかり共鳴して力強く。この魅力的な音色に池山さんの朗々たるメゾソプラノの美声が重なるのです。

●華麗な演奏テクニックと歌唱の力

続いて「茶摘」をはじめ、日本の初夏の風物詩を描いた曲を弾き、歌い上げた池山さん。ここで、せんがわ劇場音楽コーディネーター・松井康司先生との楽しいトークが入ります。

珍しい楽器や音楽をめぐって、演奏者と先生方の親しみやすいトークが聞けるのも「サンマチ」の魅力のひとつ。何やら「薀蓄」が深まった気がするのです。

トークの後は、アラルコン作曲「5月3日」、カルドーソ作曲「牛乳列車」とアルパの名曲演奏が続きます。「牛乳列車」は、ミルクをいっぱい積んだ蒸気機関車が発車して勇壮に高原を進んでいく様をアルパの音で表します。躍動的な手指と腕の動き、細かなトレモロのテクニックが、今回大勢いらした子供たちの目を釘付けにしていました。


ブランコのアルパ演奏で世界的にヒットした「コーヒー・ルンバ」(ペローニ作曲)、メキシコ民謡「ラス・チアパネカス」と演奏は続きます。身を乗り出して聴き入り、演奏にあわせて手拍子を入れるお客様。舞台と客席の一体感が高まります。「コーヒー・ルンバ」は歌謡曲で耳馴染んでいますが、実は中南米生まれと知り、びっくり。なるほど、アルパで演奏すると実にぴったりくる楽曲なのです。

満場の温かい拍手の中、アンコールで「アメージング・グレース」(ニュートン作詞、賛美歌)を弾き、熱唱してくださった池山さん。最後には「歌唱の力」で聴衆の心をぐっとつかみ、5月の朝にふさわしい爽やかな感動を届けてくださいました。


●「サンマチ」を支える「市民サポーター」

ところで、サンマチ公演でも「せんがわ劇場市民サポーター」の皆さんが活躍しています。開館以来、ほぼ全回参加してくださっている市民の方を中心に、受付や会場案内などを連携して担当。市民に愛されるサンマチの「明るい雰囲気づくり」に貢献し、優秀な若き音楽家の明日への飛躍を応援していることが誇りです。

「サンマチ」はこれからも市民の皆さんとともに充実の内容・ラインナップをお届けしてまいります。本年度もよろしくお願いします。

(取材・文/ライター 才目)