2010年10月アーカイブ

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昨年、5月に初演された「星の王子さま」に寄せられたたくさんのアンケートの中から、

お客様の声をご紹介します。

 

 

サン=テグジュペリは今年生誕110周年。

これにちなんで、彼の名言をご紹介します。

 

Love does not consist in gazing at each other,
but in looking outward together in the same direction.
              Antoine de Saint-Exupery

愛の本質はお互いを見る事にあるのではなく、
外に向かって同じ方向を見ることにある。


              サン=テグジュペリ

夫婦や恋人だけでなく、職場や友人など、あらゆる人間関係に共通の、

深い洞察をもった言葉ではないでしょうか。

いよいよ10月8日に開幕が迫った、第9回アンサンブル公演『オンディーヌ』。

演出のペーター・ゲスナー、人形操演指導&キャストの黒谷 都さん、キャストの真那胡敬二さん、そして演出助手の笠原真志さんに、せんがわ劇場版『オンディーヌ』について、熱く楽しく語っていただきました!

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――せんがわ劇場で、人間と人形が共演!?

ゲスナー せんがわ劇場は東京でも数少ない、人形演劇にぴったりの劇場です。2011年3月には第2回人形演劇祭が開催されます。それにつなげるためにも、わたしが演出するアンサンブル公演の舞台で、ぜひ人形をつかってみたかったんですね。命のない「モノ」に命を吹きこむ「マジック」に、演出家として大きなあこがれを抱いていましたし。

黒谷 わたしは人形演劇の人間であり、人形にべったりな人間。だから小道具の延長線上として人形がつかわれることには納得できないし、すごくつらい。演出家のなかには、人形に興味はもったけれど、いざつかってみて、思ったほど自由がきかないとか、思ったほど効果的じゃない、と捨ててしまう人もいます。でもゲスナーさんは、自然という大きな懐のなかの人間の小さな存在を人形で表現したい、という逆転の発想で人形をつかいたいとおっしゃったんです。その発想を通すと、進行上、複雑になるシーンもあるけど、筋を通さないとね、と。見た目のおもしろさで特殊技能者を欲しているのではない、と信じられたので、今回ご一緒させていただくことにしたんです。

真那胡 『オンディーヌ』の第1幕では、オーギュストとユージェニーが人形になることで、人間の存在の小ささと、それを取り巻く世界の大きさの対比がよく表れていますね。

笠原 水の精が高いところから出てくることで、その大きさが強調されます。

真那胡 そう、視覚的にわかりやすい。

ゲスナー 子どものとき外を歩いていて、ふと、「空からだれかに見られてる!」と思うことがあったんです。今回の芝居には、そのときのイメージが反映されています。

黒谷 今回のお芝居では、クラシックな人形繰演が行われます。それはふだんのわたしのスタイルとはちがうので、ちょっとつらいところもありました(笑)。

ゲスナー そうかもしれませんね。でも、すでに人形演劇界で活躍しているキャストの塚田さんにしても、基本的な人形繰演を経験しておくのは悪いことじゃないと思います。

黒谷 原点ですからね。

真那胡 ぼくははじめて芝居で人形を遣ったとき、いやでしたね(笑)。だって、前を向いて演技しなきゃならないのに、横で人形も遣わなきゃならないんですから。

黒谷 真那胡さん、今回のお芝居でも少し人形を遣いますが、お上手です! 手首がやわらかいところがいいんですね。オーギュスト役の林さんも、人形演劇の舞台でご一緒したいと思わせてくれます。ただ役者さんにとって、人形を遣うことは、たしかにストレスになるでしょうね。


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――ハンスはハンサムな騎士ではない!?

真那胡 40年くらい前に劇団四季の『オンディーヌ』を観てすごく感動したんですが、まさしく美男美女の悲恋物語という印象でした。ところが今回、ゲスナーさんがハンス役に井上さんを選んだことを知り、「こう来たかー!」と(笑)。

ゲスナー オーディションに集まった人たちのなかで、井上さんには存在感があったんです。

黒谷 とにかくよろいが似合ってました! それが決め手。

ゲスナー 耳も印象的だし。こんなことをいうのは申しわけないけれど、彼のハンスはけっしてハンサムではありません(笑)。でも、逆にそこがおもしろいと思って。人間から見たらハンサムじゃなくても、自然の化身であるオンディーヌから見たら、「きれい」なんです。そういうことって、あるでしょ? 一般的には「醜い」と考えれているものが、「かわいい」と表現される場合もある。それにジロドゥも、もともとそういうコンセプトでこの作品を書いたんじゃないかな。ほんとうは、ハンサムではない人がハンスを演じなければならない作品ではないかと思うんですよ。

笠原 たしかに、そう思わせるようなセリフがたくさんありますよね。


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――過去最高のアンサンブルが集結!

真那胡 アンサンブル公演への出演はこれで3回目になります。0番目企画のときからのおつきあいですが、あのときは、オーディションの面接からゲスナーさんとご一緒したんですよね。笠原さんが受けに来たときはビックリした(笑)。

笠原 そうなんです。最初のオーディションを受けてせんがわ劇場アンサンブルに加わり、何度かゲスナーさんのアシスタントとして経験を重ね、いまにいたっています。

ゲスナー あのときは、がちがちに緊張してましたね(笑)。

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笠原 今回アンサンブルとして集まった人たちは、俳優もスタッフも、すごくよくはたらいてくれていますね。過去のアンサンブル公演のなかでも、いちばんいい雰囲気じゃないかな。

ゲスナー 「これぞせんわが劇場のアンサンブル公演!」という理想的なイメージですね。それに俳優はほとんどが新人ですが、真那胡さんのようなベテラン俳優がみんなにアドバイスしてくれたりして引っ張ってくれるので、とても助かります。

笠原 今回は作業が多いこともあるのか、「みんなでつくろう」感が強い。

ゲスナー 必要に迫られて人形をみんなで手づくりしていて、それはそれでたいへんなんだけれど、逆に結束を固めることにもつながって、よかった。それに稽古で本番の舞台をたびたびつかったり、劇場で作業するうち、「ここは自分たちの劇場だ」という意識がみんなの心に浸透していきました。

黒谷 それにしても、舞台初体験の新人俳優さんたちにとって、ここまで劇場でべったり稽古できるなんて、すごいことですよね。

笠原 ほかにはあまりない、ぜいたくな環境です。みんな、そのことをわかってくれてるといいんだけど(笑)。

真那胡 これからほかの現場をいろいろ経験するだろうから、そこでいやでも実感すると思いますよ(笑)。


――ペーター・ゲスナーの演出力に注目!

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黒谷 この公演の見どころは、ズバリ、ペーター・ゲスナー氏の演出力! ゲスナーさんが、市民を巻きこんだアンサンブル公演で、人形という要素も取りこみつつ、どれだけ本格的な演劇をつくりあげたのか、ぜひ注目してほしいです!

真那胡 昔観た『オンディーヌ』とは、翻訳もコンセプトもちがう、せんがわ劇場ゲスナー版『オンディーヌ』を、とことん楽しんでほしいですね。

笠原 ゲスナーさんの演出助手を務めるのはこれで3本目になりますが、彼の演出はとにかくおもしろい! 突拍子もない発想がぽんぽん飛びだしてくるんですから。

黒谷 そう、ぴょい~んとね(笑)。

ゲスナー 人形と人間が共演するこの舞台を観て、興味をおぼえた観客の方がいらっしゃったら、ぜひ来年3月に開催される人形演劇祭にも足を運んでほしいですね!

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ペーター・ゲスナー Peter Goessner…………演出
調布市せんがわ劇場芸術監督。
1962年、旧東ドイツ・ライプチヒ生まれ。ライプチヒ大学で演劇学修士取得。1993年来日。1995年「うずめ劇場」設立。2000年9月第1回利賀演出家コンクールで最優秀演出家賞受賞。2001年北九州市市民文化奨励賞受賞。現在、桐朋学園短期大学演劇専攻科准教授。

 

黒谷 都 Kurotani Miyako …………人形繰演指導/「皿洗いの女」役/ハンス人形の遣い手
芸術性の高い人形演劇の第一人者。「genre:Gray 利己的物体と奉仕的肉体によるグロテスク」の名のもと、国内外で独自の活動を続けている。せんがわ劇場アンサンブル第7回公演『人形演劇“銀河鉄道の夜”』作劇・演出。今回は役者の人形繰演指導にあたると同時に、ちょっとだけ出演もしている。


真那胡敬二 Manako Keiji …………「水の精の王」役
オンシアター自由劇場出身。コスモ・プロジェクト所属。『上海バンスキング』等、数多くの舞台や映像作品で活躍。ペーター・ゲスナーとは古いつきあいで、せんがわ劇場アンサンブル結成時からその活動に深くかかわっている。0番目企画『時の物置』、第5回公演『星の王子さま』に出演。今後の予定:11月17日より『さくらのそのにっぽん』(シアターX)に出演。


笠原真志 Kasahara Masashi …………演出助手
劇団「風煉ダンス」主宰。せんがわ劇場アンサンブルのリーダー的存在として、開館以来、劇場の活動に深くかかわる。2009年12月、せんがわ劇場の演劇招待公演・親と子のクリスマスメールヒェン『アンデルセンの卵』を演出。

 

写真:大菊健太(アンサンブル)

取材:大野晶子(アンサンブル)

ついにキャスト紹介、最終回です!!

トリを飾るのは、もちろん主役のお二人と、女ならだれでも興味津々の役どころを演じる女優さん。

オンディーヌ役の後藤まなみさん、ハンス役の井上和也さん、そしてベルタ役の清水ゆりさんです!!

 

後藤 まなみ(ごとう まなみ)……オンディーヌ

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アンサンブル0番目企画の『モバイル』出演以来、コンスタントにせんがわ劇場とかかわってきた後藤さん。もはやせんがわ劇場の顔といってもいい存在です。
開館3年目を迎えた今年、ペーター・ゲスナーのもとでアンサンブルのメンバーたちとぜったいにいいものをつくりたい!という熱い気持ちを胸に、オーディションに応募し、みごと主役を手にしました。

「アンサンブルのみなさんには、ほんとうによくしてもらってるし、いろいろ助けてもらっています。すごく楽しくて、感謝しています」

北九州出身の後藤さん。いまだ東京のことが全然わかっていないとか。
「でも仙川の町には仲間がいる、ということで、強い思い入れがあります。商店街にはいろいろなものが売られているので、わざわざ都会に出て買いものする気にもならないし。まあ、お金もないんですけど(笑)」

 

お話をうかがった段階では、まだまだオンディーヌの役づくりに苦労していたようです。
「最初、人間の感覚でオンディーヌを演じる心の準備をしていたんですけど、オンディーヌは人間ではないですよね。いま、そう、人間じゃないんだ、というところで、いろいろ変えていっている最中です。人間ではない水の精らしさみたいなものが出せたらいいんですけど」

最終的にどんなオンディーヌが舞台に登場するのか、すごく楽しみです!
「怒鳴られながら、泣かされながら、がんばってます。最後にはぜったいにいいものにしますので、ぜひ観にきてください!」

今後の予定:せんがわ劇場アンサンブル第10回記念公演『星の王子さま』

 

 

井上 和也(いのうえ かずや)……ハンス

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フランスの戯曲にもともと興味をお持ちだったという井上さん。
「文章や台本の構成が緻密で、ユーモアのセンスを感じます。だから『オンディーヌ』のオーディション募集チラシを見つけたとき、受けてみようって思いました」

そしてハンスという大役をゲットしました!
「最初に本を読んだときは、自分からいちばん遠い役だな、と思ったんです。でも何度か読み返してるうちに、いわゆる男前の役者が演じるのもアリだけれど、自分のような、個性的な顔立ちの役者が演じるのもアリなのかな、と思うようになって。じっさいゲスナーさんは、キムタクのようなハンスは求めていない、とおっしゃっています。それに初演のときも、じつは個性的な役者が演じていたそうです」

稽古場をちらりと拝見したようすでは、かなり厳しい稽古がつづいているようですが?
「それだけ自分が未熟だということですね。でも、役者にかぎらずだれでも同じだとは思いますが、いまに見てろよ、というプライドもありますので、がんばります」
ハンスというキャラクター、井上さんのなかではまだまだ進化の過程だとか。本番が楽しみです!

仙川の町と、せんがわ劇場の印象は?
「せんがわ劇場には、オーディションのときはじめて来ました。外から見たら大きな建物だけど、中はきゅっと引き締まっているんですね。ひょっとして、建築マジック?(笑) 仙川はすごく住みやすそうな町だと思います。買いものもできるし、ちょっと行くと急に緑豊かになるし。どこかほっとする場所ですね。ただ、稽古の合間に歩きまわるほどの余裕はないんですけど(笑)」

「『オンディーヌ』、ものすごくおもしろいものになりそうな予感がします! みんなでいいものをつくって、みなさんに楽しんでいただけたらと思います。ぜひせんがわ劇場にいらしてください!」

 

 

清水 ゆり(しみず ゆり)……ベルタ

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桐朋学園芸術短期大学出身の清水さん。つねづねせんがわ劇場アンサンブルの公演に出演したいと思っていたとか。
「第7回公演の『人形演劇“銀河鉄道の夜”』を観て、人形の世界観が強烈に印象に残ったんですね。そのときの演出家である黒谷さんが参加するうえ、母校でお世話になったゲスナーさんが演出ならば、よし!という気持ちで応募しました」

そして大役ベルタをゲット!
「こんなに愛にあふれた役どころをいただくのははじめてなので、ドキドキしています。ベルタというのは、一見傲慢な人ではあるけれど、同じ女性として共感できます。いま、自分のなかの引きだしをいろいろ開けつつ、ベルタ像を引きだそうと四苦八苦しているところです」

商店街がエネルギッシュな町、仙川は、若い役者さんたちにとって、いい環境ですよね。
「ポスターを貼らせていただくために商店街をまわったんですが、地域とここまで密接にかかわっている劇場はあまりないんじゃないか、とひしひしと感じています。せんがわ劇場の公演で、町がにぎわえたら、すごくすてきですよね」

 

「人間と人形が同じ舞台に立つ公演は、あまりないと思います。人形がいることによって、ちがう世界が見えてきたり、想像の幅が広がるんじゃないかな。お子さまにも楽しんでいただけるはずです。人形に負けないよう、人間もがんばっていますので、ぜひ劇場に足を運んでください!」

言葉を慎重に選びつつ、熱く、真摯に語ってくださった清水さん。
昨年度のせんがわ劇場第1回演劇コンクールでオーディエンス賞を受賞した「タマゴプリン」に参加しており、来年1月24~30日に行われる受賞公演にもふたたび出演します。せんがわ劇場を足がかりに、どんどん羽ばたいてください!

 

写真:大菊健太(アンサンブル)

取材:大野晶子(アンサンブル)

さて、いよいよキャストの紹介も残り少なくなってまいりました!

今回は、オンディーヌを育てる養父母と、オンディーヌに思わぬ形でかかわり合う紳士を演じる役者さん。

オーギュスト役の林周一さん、ユージェニー役の塚田次実さん、そしてベルトラン役の春田奨さんです!!

 

林 周一(はやし しゅういち)……オーギュスト/死刑執行人/オーギュスト人形、貴婦人人形、大魚の遣い手

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今回、比較的若手が多い出演者のなかで、真那胡さんと並んで頼りがいのある兄貴的存在の林さん。演出助手の笠原さんが主宰する劇団「風煉ダンス」で、役者のみならず、劇作家もこなす多才ぶりを発揮しています。

「じつはオーディションは、軽い気持ちで受けたんです(笑)。でも、個人的にペーター・ゲスナーさんの演出には前から興味がありましたし、単純に『オンディーヌ』という戯曲のおもしろさにも惹かれました」

林さん演じるオーギュストって、どんな人?
「素朴な男です。漁師なんで、オンディーヌのいる自然界の魂も持ち合わせている。自然のよさも厳しさも、いちばんわかって生活している人なんですね」

劇中、人形を遣うシーンがたくさんありますね。
「最初は、人形遣うなんて聞いてないよーっ、て(笑)。正直、ショックでした。でもやっているうちに楽しくなりました。いずれにしても、役者が生身で演じようが、人形を遣おうが、演劇をする楽しみや厳しさは変わらないですね」

そして、仙川という町とせんがわ劇場について。
「仙川はすごく発展しましたね。ひょっとして、駅前に残された桜の恩返し?(笑)。せんがわ劇場は、もっともっと地域と密接にかかわっていけるんじゃないか、と思います。宝の持ち腐れにはなってほしくない」

「せんがわ劇場の『オンディーヌ』は、おとなから子どもまで楽しめる舞台です。見ないと損ですよ!」

今後の予定:2011年5月末、風煉ダンス新作公演@せんがわ劇場

 

 

塚田 次実(つかだ つぐみ)……ユージェニー/ユージェニー人形、貴婦人人形、大魚の遣い手

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じつは塚田さんは、人形やモノを舞台で遣うようになって10年余のベテランです。第7回アンサンブル公演『人形演劇“銀河鉄道の夜”』、つづいて第1回人形演劇祭にも参加しています。

でも今回は、生身の役者として舞台に!
「俳優としてセリフを口にする劇ははじめてです。そもそも今回オーディションに応募したのは、人形がセリフ劇のなかにどういうふうに立つのか、すごく興味があったから。演出家はどんなかたちで人形を表現してくれるのだろう、と。そしてそれを端から見るのではなく、みずから演じてみたいと思ったんです」

人形遣い、モノ遣いは得意中の得意ですよね?
「それが、今回はケコミ(*)にからだを隠して人形を遣うのですが、そういう、いわゆるオーソドックスな人形劇は、じつは経験したことがないんです。いや~、キビシイですね。でもむずかしい反面、楽しさもあります」

塚田さん演じるユージェニーは、肝が据わったたくましい女性のようです。役づくりをしてみての感想は?
「見習わないと、と思いました(笑)。それに、子どもがほしくなりましたね」

アンサンブルへの参加は2回目になる塚田さん。アンサンブルのことを、「すごくぜいたくな組織」と感じているとか。
「わたしも自分の町でそういうのがあったら、参加します。だって楽しそうだもの!」


「『オンディーヌ』、俳優さんに負けじと人形たちも名演技しています!! お楽しみに!」

今後の予定:せんがわ劇場第2回人形演劇祭“inochi”に、「ヂバドロ・アノ」の一員として出演。

*注 ケコミ=人形劇の舞台構造で、人形操演者を隠す衝立のこと

 

 

春田 奨(はるた しょう)……ベルトラン/水生生物の遣い手

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『オンディーヌ』のオーディション募集チラシを見てまっ先に思ったのは、「あ、家から近い劇場だ」ということだったとか。

「それに、人間と人形の共演というところに興味をおぼえました。人形には、心惹かれるものがあります。琴線に触れるなにかがある。そんなことから、オーディションに応募しました」

春田さん演じるベルトランは、どんな人ですか?
「ベルトランという男は、この手の話には欠かせない敵役ですね。重要な役どころです。特に女性にはかっこ悪いところを見せない、でもいいやつ」

見るからにやさしげな雰囲気の春田さん。ベルトランとの共通点はあるのでしょうか?
「ぼく自身は、ベルトランほどおおらかになれないですね。だからベルトランを自分のなかから引きずりだすのに苦労してます(笑)」

仙川の町は、「きゃぴきゃぴして」、活気があって、お気に入りだそうです。
そんな町でお芝居に参加するのは、どんな感じなのでしょうか。
「アンサンブルへの参加は、とにかく楽しいのひと言! さまざまなジャンルの人たちが集まっているので、いろいろな話が聞けるし、自分の成長にもつながっている、と日々実感しています。稽古に入る前といまとでは、全然ちがう自分がいる」

じつは春田さんにとって、今回が初舞台になります。今後、できることはなんでも挑戦していきたい、とさわやかに語る春田さんを見ていると、思わず応援したくなります!

「古典演劇の『オンディーヌ』は、敷居の高い芝居に思えるかもしれませんが、せんがわ劇場の『オンディーヌ』は、親しみやすくて、どの年齢層の方もお楽しみいただけます! ぜひ観にいらしてください」


 

写真:大菊健太(アンサンブル)

取材:大野晶子(アンサンブル)

今回は、宮廷シーンの名脇役たちを紹介します!

詩人を演じる西田隆維さん、劇中劇の登場人物サランボーとマトーを演じる乙顔有希さん、召使いと貴婦人を演じる平澤川澄さん、小姓と召使いを演じる渡辺和貴子さんの4人です。

 

西田 隆維(にしだ たかゆき)……詩人/水生生物の遣い手

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かつてマラソン選手としてオリンピックを目指していた西田さん。箱根駅伝や世界陸上に出場し、フルマラソン2時間8分45秒という、すばらしい記録の持ち主です。
そんな西田さんが、なぜ役者の道を?

「別府で自己ベストを出したときも、箱根を走ったときも、ずっと役者をやりたいと思っていました。でも体力がつづくかぎりは、とりあえず走りつづけよう、と。でもいつか、それが無理になったら、役者になろうと決めていました」

今回、『オンディーヌ』のオーディションに応募しようと思ったのは?
「人形と生身の役者が一体となる舞台というのに興味をおぼえたんです」

「演じるにあたって、自分の想像力の乏しさが苦しいです。でもさんざん苦しんで悩みを乗り切ったところに楽しさがありますね」

さすがスポーツマン、自分をとことん追いこむのがお得意のようです。

 

今回手に入れた役は、宮廷であれこれ物語を紡ぎだす詩人役。
「第1幕のオンディーヌのセリフを聞き逃さずにいてもらえると、詩人の役どころをより楽しめます!」

「8月中旬から、みんな一生懸命稽古に取り組み、アンサンブル・メンバーの人たちと一体となってがんばってますので、ぜひいらしてください!」
西田さんのブログ http://nishida-takayuki.syncl.jp/

 

 

乙顔 有希(おとがお ゆき)……サランボー/マトー

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桐朋学園大学で声楽を学んだ乙顔さん。舞台ではその美声を惜しみなく披露してくださいます!

『オンディーヌ』という作品そのものにずいぶん惚れこんでいたとか。
「この物語を読んだときに、すごく感動したんですね。なので、どんな形でもいいからこの作品にかかわりたい、と切実に思ったんです」

サランボーとマトーって?
「劇中劇の登場人物なんです。フロベールが書いた『サランボー』というお話。身分ちがいの男女が惹かれ合う悲劇です」

声楽科出身ということで、もともとは役者を目指していたわけではなかったそうですが、ずっと前から興味は抱いていたそうです。でも音楽のほうもずっとつづけていきたい! 今回の出演では、役者として演じながら美声も生かせるので、なによりですね。

仙川の町は、小学校のときから桐朋の先生に音楽を習いに来ていたので、すっかりおなじみだとか。地域に根ざしたせんがわ劇場での活動は、乙顔さんにぴったり!!
「アンサンブルも、舞台をみんなで一からつくれるというのがうれしいです!」

「せんがわ劇場の『オンディーヌ』は、とってもすてきなお芝居のうえに、人形も出てきます。ぜひみなさん観にきてください!」

 

 

平澤 川澄(ひらかわ かすみ)……召使い/貴婦人

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知り合いが出る舞台を見に行ったとき、たまたまチラシに挟まれていたオーディション募集のお知らせを発見し、応募してくれた平澤さん。

そしてゲットした役は、ハンスとベルタに仕える「男の」召使い役!
見るからにかわいらしい平澤さんが男役? と思いましたが、稽古を見るかぎり、なかなか「男らしい」かも!?

せんがわ劇場を知ったのも、オーディション募集チラシを見たときがはじめてなら、仙川という町に降り立ったのも、オーディションのときがはじめてだったとか。

「ここまで演劇を応援している町は、はじめてです。なんだか住みたいな、と思ったりして(笑)。すばらしい環境だと思います。ほかの小劇場とはまたちがう魅力があって」

市民がボランティア参加する、せんがわ劇場アンサンブルの印象は?
「まったく知らない人たちが協力して舞台づくりを進めるなんて、はじめての体験。今回は、いろいろなことを経験させていただいています。観客のみなさまには、人形を遣った演劇を楽しんでいただければと思います」

今後の抱負を教えてください!
「これからも女優として、マイペースで、前向きにがんばっていきます!」
みなさん、ぜひ応援してください!!

所属:㈱宝井プロジェクト

 

 

渡辺 和貴子(わたなべ わきこ)……小姓/召使い/水の精人形、大魚の遣い手

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演技の勉強はとくにしていなかったという渡辺さんですが、みごとオーディションに合格し、小姓と召使いという、性質の異なる役を演じています。

「もともと舞台づくりに興味があったんです。せんがわ劇場のサイトでオーディションのお知らせを見つけたとき、アンサンブルのキャストだけではなくて、スタッフも募集しているところに興味をおぼえ、応募しました」

とにかくはじめての体験をしたい!というわくわくした気持ちで稽古にのぞんでいるそうです。
「小姓の役は、出番もセリフも少ないんですけど、みんなでわさわさしているところへ、ニュースを持ちこむ役なんです。ものごとが転換するきっかけをつくる役目」
なるほど、では小姓が登場したら、「なにかが変わる!」と思ってよいのですね。

「小姓は少年のイメージで演じています。こちらはきちんと教育を受けている役どころなのですが、べつの幕で演じる召使いは逆に身分が低いので、それなりの所作とか学んでいる最中です!」

いままで役者のアンサンブルというのはあっても、アンサンブル・スタッフという概念がなかったので、せんがわ劇場アンサンブルのことを知ったときは、びっくりしたという渡辺さん、ぜひ今度は、キャストのみならず、スタッフとしても活躍してください!

「『オンディーヌ』は、人間関係がいろいろ見えてくる舞台です。ぜひよろしくお願いします!」

 

写真:大菊健太(アンサンブル)

取材:大野晶子(アンサンブル)

 

さて、つぎはわきを固める愉快なメンバーを紹介しましょう!

第1の漁師と貴婦人役の吉成淳一さん、第2の裁判官役の菊地隆之さん、第2の漁師と貴婦人役の畠山健さん、そして豚飼い役の船越桂さんです。

みなさん陽気で気さくな方で、楽しくおしゃべりさせていただきました!

 

 

吉成 淳一(よしなり じゅんいち)……第1の漁師/貴婦人

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ペーター・ゲスナーという演出家に興味を抱き、『オンディーヌ』オーディションに応募したという吉成さん。
2007~2009年、燐光群に在籍していたとき、せんがわ劇場の招待公演『ローゼベルント』にも出演したそうです。

「『ローゼベルント』に出演したおかげで、せんがわ劇場になじみがあったのもオーディションを受けた理由のひとつです。それに『オンディーヌ』という作品自体、いろいろな意味でおもしろい。コメディというか、ナンセンスギャグみたいなものもあって。笑える作品ですね」

さて、今回の役どころですが、第1の漁師という役はともかく、貴婦人というのは!? 
「男の貴婦人もおもしろいんじゃないか、と(笑)。口紅はもちろんのこと、本番ではカツラもつけて、もっともっとつくりますよ!」

せんがわ劇場アンサンブルに参加しての印象は?
「みんなであれこれやるのが楽しいですね。役者でありながら、大道具や小道具にもかかわれるのがうれしいです」

いまではすっかり通い慣れた仙川の町は、商店街が充実しているのが魅力とか。
「つい買いものに行きたくなりますね(笑)」

ブログをご覧になっているみなさんに、ぜひ『オンディーヌ』のアピールを!
「とってもすてきな物語です。出演するぼくたちも楽しんで演じているので、みなさんにも楽しんでいただけたらと思います」

 

 

菊地 隆之(きくち たかゆき)……第2の裁判官/水の精の遣い手

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今回のオーディションの募集チラシを、習っているジャズダンスのスタジオで発見し、「これはおもしろそうだ」と応募した菊地さんです。
「自分に向いてるかも!と」

菊地さん演じる第2の裁判官は、ちょっと不思議な登場のしかたをするかもしれないそうですが?
「もしかすると、ギターをかき鳴らしての登場になるかもしれません」

ギター!? それは、なぜ?
「オーディションの応募書類に貼付したプロフィール写真が、ギターを持ってる写真だったんです。それを見たゲスナーさんが、せっかくだから一度稽古場に持ってこい、と」

まさか「流し」の裁判官?
「奏でる曲は、第1の裁判官役の山本さんとの合作なんです(笑)。弾き語りが好きなんですよ」

仙川という町と、せんがわ劇場アンサンブルの印象を聞かせてください。。
「仙川は、すごく暮らしやすそうな町。そんな町で、アンサンブル・メンバーとして、みんなでひとつのものをつくる一体感がいいですね!」

「ぼくにとっては、これが舞台初体験です。すごく楽しんで見ていただける作品だと思いますので、ぜひせんがわ劇場にお越しください!」
日々、心が豊かになるのを感じているという菊地さん。みなさん、ぜひ菊地さん演じる、不思議な裁判官にご注目ください!

 

畠山 健(はたけやま たける)……第2の漁師/貴婦人/大魚、水生生物の遣い手

 

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現在も俳優の養成所に通って演技の勉強中だという畠山さん。ぜひ人前で演じる機会がほしい、という思いから、オーディションにチャレンジしたそうです。

第2の漁師という役どころは?
「オンディーヌをつかまえる漁師なんですが、浮かれ騒いでばかりで、まわりの話をまったく聞かないやつなんです(笑)。楽しくやらせてもらってます」

せんがわ劇場アンサンブルに参加してみてのご感想をお聞かせください。
「こういう形もあるんだな、と思いました。演劇の世界というのは、なかなか簡単には入りこめない世界ですよね。だから興味のある人がこういう形で参加できるシステムは、なかなかいいと思います」

一見、おとなしいイメージの畠山さんですが、お話をうかがっていると、ときおり揺るぎない決意のようなものがパンッと伝わってきて、はっとさせられます。
今後の予定はとくに決まっていないそうですが、役者道をばく進する、ときっぱり!
せんがわ劇場での初舞台を足がかりに、ぜひ大きく羽ばたいてほしいと思います。

『オンディーヌ』の見どころをみなさんに語ってください!
「たくさんキャストが出ていて、いろいろ個性的なことをしているので、いろいろなところに目を向けてください! また、美人揃いの貴婦人にもぜひご注目を♪」

 

 

船越 桂(ふなこし かつら)……豚飼い/貴婦人人形、鱒の遣い手

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あるワークショップに参加していたとき、たまたまそこに来ていたペーター・ゲスナーにオーディションのことを聞き、応募したという船越さん。

今回の役どころは、陽気な豚飼い!
「最初、豚飼いというのは老人役だと思っていました。でもいまは、読みかたによっては少年にもなりえるかも、と思っています。そこで、明るくて元気な少年の豚飼いをイメージしつつ、役づくりに励んでいます」

東京乾電池付属の養成所「アクターズラボ」で、1年間演技を学んできたことが、今回の舞台でどのように生かされるのか、楽しみです!

仙川という町の印象は?
「商店街があるすてきな町だと思います。住んだらすてきでしょうね。引っ越したくなりました(笑)」

 

せんがわ劇場アンサンブルは、時間がある人がなんでもするのが基本。船越さんは、そんなところが気に入ったようです。
「役者は役者の仕事しかできないと思っていたのが、ここのアンサンブル公演では、小道具や衣裳づくりにかかわれるんですね。やってみたい!という気持ちを尊重してくれるなんて、すてきだと思います」

これからも、いろんな人と出逢って成長していきたいそうです。
「稽古の中で、オンディーヌがどんどんきれいになっていくのを間近で見ています。すてきな舞台です。出番は少ないですが、豚飼いさんも見にきてください!」

写真:大菊健太(アンサンブル)

取材:大野晶子(アンサンブル)