『銀河鉄道の夜』作劇・演出の黒谷都が語る!
アンサンブル第7回公演 人形演劇『銀河鉄道の夜』が、いよいよ来週開幕します!
そこで、今回作劇と演出をお願いした黒谷都さんに、
作品について、人形演劇というものについて、熱く語っていただきました。
――人形演劇とほかの演劇のちがいはなんですか?
舞台表現という点では同じですが、観客に見られるモノと、そのモノの動力が別だというところに、
人形演劇の大きな特徴があると思います。
――出演者は、人形を操るだけですか?
いいえ、それだけではありません。人形と人形遣いは、2つでありながら1つの存在。
不可思議な共同生命体のようなものだと考え、それをもとに舞台をつくっていきます。
――今回、なぜ『銀河鉄道の夜』を?
まずは、非常に魅力的な作品であること、そして「命」に対する思いが強い作品であることから選びました。
私は、生も死も一続きの「命」だと考えたいんです。なかなか簡単ではないですが。
誕生以前や死後も、ひとつの「命」の表れ方だ、と。その点が、この作品からひしひしと伝わってきます。
「いまここにいる私は、私という現象でしかない」という宮沢賢治の考え方には、ものすごく惹かれます。
――今回、人形として登場するのはカムパネルラとジョバンニだけですか?
いえ、ほかにも登場しますが、カムパネルラとジョバンニは「役者として存在する人形」であり、
ほかの人形は、「人形として存在する人形」というふうに考えています。
――セリフはあるのでしょうか?
まったくないわけではありませんが、セリフによって芝居が進行する形はとりません。
人形演劇のいろいろな要素、手法、おもしろさをあれこれ採り入れながら、
いままでにない斬新な作品にしたいと考えています。
――人形演劇の手法とは?
たとえば手に人形をはめる片手遣い人形、糸で操るマリオネット、
文楽のような抱え遣いの形態など、さまざまあります。
どれも素敵です。今回いろいろ盛りこみますので、観客のみなさんにも、
そのなかでお気に入りを見つけていただければと思います。
――今回、市民参加のアンサンブル公演ということで、出演者はオーディションで選ばれ、
8月からワークショップ(WS)を行っていますが、みなさん稽古ではどんな様子ですか?
楽しむと同時に、苦労もしています(笑)。
すでに人形演劇のプロとして活躍している人もいれば、モノとの関係づくりなんてはじめてだ、
という人もいますが、稽古場の雰囲気は最高です!
みなさんすごく熱心で、毎週1回のWSに加え、自主稽古もしょっちゅう行っています。
半年という期間は、市民参加のWSとしては長いですが、なにかを究めるには短すぎる時間です。
でもその中からプラスの要素を引き出せるよう、がんばります。
――チェコへ人形演劇の勉強に行かれたそうですが、チェコと日本のちがいは?
とにかく自由度がちがいます! チェコの人形演劇界は、なんでもアリです。
たとえば20代の私は、「見えない」前提の黒子の出遣いに大きな疑問を抱き、
人形遣いもひとりの出演者と考え、衣裳を着て舞台に立ちはじめたのですが、
チェコでも同じころ同じような動きがあったんです。
ところが同じことをやっても日本では「目立ちたがり」と批判され、
チェコでは「人形演劇の変革」として展開していった。
どうしてかと言えば、チェコの場合、完成度が半端ではないからです。
チェコに行って、自分の思いを実現させるためのストイックさというものを学びました。
あと、演じる側だけでなく、観客もちがいます。
なにも見逃してなるものか、とばかりに食い入るような視線をぶつけてくるので、
演じる側はそれ以上のパワーが要求され、おのずと鍛えられます。
――やはりチェコの人形演劇界は、日本とは違って奥が深いのでしょうか?
日本の人形演劇は、とても奥が深いですよ。
ただ現在、人々の生活の中にどう位置づけされているかというと、少し違いが浮かび上がりますね。
チェコでは歴史を担った重みと共に、現在でも人形演劇がとても大切にされていて、
各町に人形劇場がたいていひとつはあるんですよ。
それに、チェコ人にとって人形演劇はちっとも特殊なものではなく、ひとつの舞台表現として
一般的に受け入れられています。だから演劇一般のなかでもまれてきた骨太さがあると思います。
――人形演劇の一般的なとらえ方は、チェコと日本ではずいぶん違うんですね。
日本は人形演劇がとても盛んな国なのに、演劇界に身を置く人間でも、人形演劇は観たことがない、
という人がとても多いです。
著名な演出家に、人形遣いはたんに人形を動かしているだけかと思っていた、と言われたことがあります(笑)。
日本の人形遣いは非常に優れています。
アジア人が持つ「モノに精霊を降ろしてくる力」や器用さなどはとてもレベルが高くて、
じつはヨーロッパでも注目が集まっているんです。
人形演劇をつくる「頭」とそうしたアジアの「心」が一緒になって、非常にいい東西融合が立ち上がっています。
――今回せんがわ劇場で上演されるのは、どんな人形演劇なのでしょう?
なじみのある「人形劇」という呼び名ではなく、少し堅苦しく聞こえる「人形演劇」としているのは、
日本ではどうしても「人形劇=子ども向け」というイメージがつきまとうからなんです。
もっと大きく、「人の形が演じる劇」と認識していただきたいと思って。
そして「人」とは、五体満足なものだとはかぎりません。
もっともっと、拡大解釈してほしい。じつは子どもは、そのへんを感覚でわかっていますよね。
かつて子どもだった大人も、忘れているだけで、そういう感覚を持ち合わせているはずです。
だから今度のお芝居も、理屈ではなく、目の前で起きていることをそのまま受け入れて、
感覚的に楽しんでもらいたい。と同時に、細かいところに暗号がちりばめられているので、
それをひとつずつ読み解いて、大人だからこその「知的な」楽しみ方を味わっていただきたいです。
何度観ても、そのたびに新たな発見があるはずです。
感覚的と知的は相反するものではなく、2つで1つ――人形と人形遣いのよう(笑)――
に機能してはじめて全開だと思うんです。そういう「人形演劇」の舞台をお目にかけようと思っています。
――最後に市民のみなさんにメッセージをお願いします。
私の舞台は、いわばヨーロッパスタイルと、アジアのアニミズムを融合させた舞台表現です。
おそらく観客のみなさんが「人形劇」という言葉からイメージされるものとは大きく異なり、
とても新鮮に映るはずです。「人形劇」という既成概念から自由に解き放たれた、
「見えない命が形に宿り、劇を演じる」私流のやり方。真っさらでオープンな心でお楽しみいただければと思います。
ぜひ観に来てください。
☆☆いかがでしたか!?
いままでみなさんが抱いていた「人形劇」の概念とは、大きく異なる舞台になりそうで、すごく楽しみですね!
チケット絶賛発売中です。お電話でも予約を受け付けておりますので、
ぜひせんがわ劇場で、新しい「人形演劇」の世界に触れてください!!
せんがわ劇場(チケット電話予約) 03-3300-0611
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