2010年1月アーカイブ

最後は、『銀河鉄道の夜』のベテラン出演者です。

 

まずは、ジョバンニ遣いの塚田次実(TSUKADA Tsugumi)さん。

 

塚田さんが初めて舞台に立ったのは、約10年前、黒谷先生が主催した

『人形演劇プロジェクト2000』でした。その後プロジェクト・モアレなどに

参加し、若者5人でグループを作って活動してきました。

今回は、黒谷先生の演出作品に出演した経験があるメンバーとして、

他の出演者たちをリードする役割を担っています。

 

でも、基本的に人形よりオブジェを扱うことが多かった彼女にとって、

今回のようにほとんど人形だけを遣うのは新しい挑戦でした。

それにこんな大人数で、しかもみんなそれぞれ異なる経歴を持つ人たちと

共演するのも、珍しいことです。

「モノを扱うのは難しいことですけど、そこでどんな面白さを発見するかは

みんなそれぞれです。お互いに異なる部分を感じ、楽しめて、刺激を受けました。

楽器を習って音楽を作りあげるのと同じく、みんな長い稽古の間、

モノを遣う基礎を一から学びました」

 

今回の作品の見どころは――「個人個人ではなくて、舞台の表、裏すべてが

表現していることを見せたい」。それが一番肝心だとか。

そして、「頭で考えたりがんばったりしないで、空っぽの頭で『銀河鉄道の夜』

を観てください」とお客さまへのメッセージを語ってくれました。

 

 塚田さんからのお知らせ!

 『銀河鉄道の夜』が終わったら、すぐに『人形演劇祭“inochi”』が始まります。

 1月30日15時から「ヒトとニンギョウ・共感するモノたち」に出演しますので、

 こちらにもぜひお越しください。

 

 

 

 

特別出演の井村淳(IMURA Jun)さんは、1952年から人形劇の世界で活躍

している大ベテランの方です。演劇に興味があった19歳の頃、偶然人形劇に参加し、

そこで子どもたちが喜んでいる姿にたまらなく感動したことがきっかけとなり、

今まで人形劇を続けているそうです。

 

そのあと劇団人形座、劇団人形の家で、人形劇俳優として演じ続けた井村さんは、

7年前に体調を崩してしまい、残念ながら昔のような活発な活動はできなくなって

しまいました。しかしNHKの番組『できるかな』を人形劇として復活させ、

20年間その舞台を見守っているというのですから、人形劇への愛は誰にも負けないでしょう。

 

井村さんは、今まで黒谷先生の作品を何度も観ているそうですが、

『銀河鉄道の夜』は初めての舞台なので、はたしてどんな舞台が誕生するのか、

「新鮮な新しい人形演劇になりそうだ」と、期待に胸をふくらませています。

幻想的な雰囲気がどんどん高まっていく舞台を細かくチェックする井村さん。

特に「ジョバンニが元気に生きていければ」と、本番への思いを語ってくれました。

 

 

 

 

 特別出演の石井マリ子(ISHII Mariko)さんも、1953年から人形劇の世界で活躍してきた方です。

 

 『銀河鉄道の夜』の感想について、

 「集まった、若いメンバー達が、凄く真摯。昨年の夏から見ていたから、

 アンサンブルが、できてゆく姿は、目を見張る思いです。

 一緒に舞台に立てたことが嬉しく、ただ、ただ尊敬。またスタッフの皆さんの粘り強さ、凄いです!」 

 と、語りました石井さんにとって、

 本作品の見どころは――「人間と人形の、エネルギーです!」

 

 石井さんが人形劇に興味を持つようになったきっかけは、お兄様の在籍していた大学の人形研究会。

 中学3年から呼ばれて手伝うようになり、高校3年から専門劇団の団員になったそうです。

 

 人形座の団員たちと共に座が閉じるまで10年間活動した石井さんは、

 以後、全国の小中学校を、演劇教室で回りました。

 一年の内、200日旅公演の日々…。

 世界中の人形演劇、マルシヤーク「森は生きている」の作者による "小さいお城"なども、

 公演しました。
 
 「人形劇が、より深い人間のドラマを担いうる」と思っている石井さんは、

 後に、NHK「できるかな」 に参加。ゴン太くんという人形をつくりました。
 そして、井村氏が動かすのです。

 「それは、素材がお話を展開する番組。どんな風に、素材がドラマを語りうるかという…。

 素晴らしいスタッフに恵まれた番組でした。20年間、ひじょうに勉強になりました。」


 

石井さんからのお知らせ!
  現在、活動中の「ぼくにも、できるかな」は、

人形演劇の様々な手法を行い、幼児から、大人まで楽しめるものにしています。

2月に公演があります。人形劇に興味をもたれた方はぜひ!いらしてください。



 

 

インタビュー 李洪伊&金田海鶴(アンサンブル)

 

さて今回は、演劇ファンの方なら、どこかで見かけたことがあるかもしれない役者さんたちの紹介です。

 

まずは、カンパネルラ遣いの油絵博士(ABURAE Hakase)さん

 

彼は現在「ウレタンを工夫工房」に所属し、小道具の製作、

特にきぐるみの製作に夢中になっているそうですが、その一方で、

芝居や舞踏などの公演で俳優・ダンサーとしても活躍しています。

 

今まで、「モノに頼るな」と言われつづけてきた油絵さん。

今回は逆にモノを前面に出しての表現に挑戦しているわけですが、

黒谷先生とは舞踏という共通言語で通じ合えるので、

まったく新しいことをしている気はしないと言います。

先生の細かい演出指導も非常に新鮮で、身体の動きを即興的に決めていた

今までの稽古とは違う、新しい一面が発見できたのです。

 

それでも、長期にわたる稽古スケジュールを初めてきいた時は、

さすがに驚いたようです。稽古は約1ヶ月が普通ですから、

驚くのも無理はないかもしれません。

ところが人形を扱う稽古を重ねるうち、いまでは「半年でも足りない!」

という気持ちになったとか。

「カンパネルラになるとは想像もしていなかったので、常にあせっている状況です。

常に危機感があって、どうすればいいのか、必死に探っています」

と慎重な口調で話してくれました。

 

離れたところから舞台を見たとき、そして舞台に立つすべての人形・モノたちを

出演者として見たとき――そこにこの作品の魅力があるのではないか、と、

ご本人は本番が楽しみでならないようすでした。

 

  油絵博士さんからのメッセージ!

   この作品を客観的に観られるなんて、うらやましいかぎりです。感想などぜひ聞かせてください!

 

 

 

 

ザネリ役の後藤まなみ(GOTO Manami)さんは、せんがわ劇場の芸術監督ペーター・ゲスナー氏

のもとで経験を積んできました。「ハムレット」、「ゴドーを待ちながら」、

「イワノフ」、「星の王子様」、「カンタン」、「モバイル」、「嫉妬」、

「坊になった男」、「牡鹿王」等々、いままで数え切れないくらいの舞台に出演しています。

 

自分の身体を犠牲しなければならないこと、自分が無理な体勢をとることで

人形が生きてくること――稽古ではそこにむずかしさを感じたそうです。

彼女の動きは特に激しいため、怪我をしたこともありました。

でもペーター・ゲスナー氏のもとで学んだのは、「自分で責任を取る」主義。

だから自ら動きを作るようになり、いまでは「大変だけど大好きな稽古」といえるまでになりました。

 

通常よりも長い期間、稽古を重ねてきたことについては、

「それくらいの時間が必要でした。

不思議といい人ばかりが集まって、本当にみんな家族みたいに仲良くなったので、

この素敵な団結力がお客さまにも伝えられると思います」と、うれしそうに語ってくれました。

 

後藤まなみさんからのメッセージ!

ぜひ観に来てください!

 

 

 

 

たけうちみずゑ(TAKEUCHI Mizue)さんは、

過去にもせんがわ劇場の舞台に立った経験があります。

所属する劇団chon-muopの「よこしま」と「おまえのなみだはビールでながれてる」が、

ここせんがわ劇場で上演されたのです。

 

いままで女優として活躍してきた、たけうちさん。彼女にとっても、人間以外を

演じるのはやはり初めての体験です。それでも開口一番、一瞬の迷いもなく「楽しい!」

という感想を聞かせてくれました。

 

通常の約1カ月の稽古と比べると、ずいぶん長い時間をかけて稽古をしてきたので、

人形演劇『銀河鉄道の夜』への思いや愛情には並々ならぬものがあるようです。

この作品の見どころは、ズバリ、「Dont think Feel it!」。

「考えるより、全身で感じるお芝居なので、観客のみなさんも気持ちよく精一杯

感じてほしい」と力強いメッセージをくださいました。

彼女の豊かな感性から生まれる人形、モノの表現を、お楽しみに!

 

たけうちさんからのお知らせ!

劇団chon-muopが「第1回せんがわ劇場演劇コンクール」に参加します。

作品は、水木しげる原作の『新変方丈記』で、2月7日(日)15時からの上演です。

入場無料ですので、ぜひ観にいらいてください。

かわいい劇団のホームページhttp://www.chon-muop.comもありますので、

今までの活動やこれからの予定なども、楽しくチェックしてみてください。

 

 

 

 

松木章子(MATSUKI Akiko)さんは、昨年3月31日まで劇団夢現舎(ムゲンシャ)

所属していました。

劇団では、みんなでテーマを決めて物語を作ったそうですが、海外でも通用できる

作品にするため、身体表現を強調したり、チャンバラなどの日本的な要素を採り入れたり

したそうです。

 

今回の作品では、それとは一変して「自分を出さない」表現にこだわることになった

わけですが、彼女曰く「表現の可能性」が感じられ、「人間ができないことを可能に

してくれる面白さが、人形にあったんです」。

 

そんな彼女が選ぶ『銀河鉄道の夜』の見どころは?

「ラストシーンです。原作に忠実ながらも、作者に対して何かを提案しているように

感じられると思います!」

 

そして、彼女の心優しさが伝わってくるような発言も。

「本当に素晴らしい作品になっていると思いますので、お客さまも一緒に楽しめたら

とても嬉しいです」

最後には目を潤ませながら、お客さまへの温かな思いを口にしてくれました。

 

 松木さんのメッセージ!

才能あふれるパフォーマー、スタッフ、先生、皆さんと出会えて本当にありがたく

思っています。一緒に舞台の上で生きられて幸せです!

 

 

 

インタビュー 李洪伊(アンサンブル)

引き続き、みなさんを特別な世界へと案内してくれる三人をご紹介しましょう。

 

「おとちゃん」というニックネームがとてもお似合いな、乙顔有希(OTOGAO Yuki)さん。

 

素敵な歌声の持ち主である彼女は、実は声楽の世界の人です。

芝居やオペラ、ミュージカルなど、舞台芸術にたいする興味は昔から強く、

ずっと挑戦をつづけてきましたが、本格的な演技は今回が初めてだそうです。

 

「音パフォーマー」として舞台に立つつもりで参加した乙顔さんは、

「声楽を勉強したので地声で歌ったことはあまりないんです。

でも地声で歌いたい。今回の作品は自分にとって大切なチャレンジです」

と真剣な表情で語ります。

これからもジャンルを問わず舞台表現を勉強し、活躍したいという夢を

抱いている乙顔さん。今回の『銀河鉄道の夜』との出会いで、今まで知らなかった

世界が広がったことが、とてもうれしいそうです。

 「モノを表現するのは非常に難しいことですが、モノに命が吹き込まれる瞬間を

  目撃したときは、とても衝撃的でした。最初こそ人形を扱うことが怖かったのですが、

  今ではそんな恐怖心はなくなりました」

 

最後にこの作品の見どころについてたずねてみると――「全部! でも選ぶんだったら、

やっぱり最後のシーンがいちばん」。好奇心を大いに刺激されてしまいました。

少し前の自分と同じように、お客さまにも今まで見たことのない世界にふれてもらいたい、

と心優しいひと言もいただきました。

 

 乙顔さんからのメッセージ!

 とても素敵な舞台です。一人でも多くのみなさまに見ていただけたらうれしいです。

 

 

 

 

次にご紹介するのは、チュンセ役の小倉良博(OGURA Yoshihiro)さんです。

 

彼は7~8年前からダンス、特に舞踏の世界で活躍しています。

今まで、一人芝居で即興作品が多かった彼にとって、長期間の稽古は「自分との戦い」

の時間だったそうです。自分の体が主役だった世界から、モノが主役になる世界へ来たからです。

「モノを扱うのが思い通りにできなくて、いらいらしました」と、苦労を告白。

でも苦労した分、作品にたいする愛情も生まれたようで、

「これは、ただの人形劇ではありません」と、語ってくれました。

では、その熱い思いに耳を傾けてみましょう。

 

「演技も、踊りも、この作品は演出家、俳優、舞台美術家みんなで一緒につくりあげた

作品なので、どのジャンルのどんな人が観ても刺激を受けると思います。

特に舞台美術って単なる飾りにすぎない舞台が多いのですが、この作品は違いますね。

美術と俳優が舞台で一体となるようにつくられたという意味で、非常に理想的な作品だと思います」

 

  小倉さんからのお知らせ! 

  「ダンスが見たい」という企画で「ディ・フラッツ」という公演が今年の8月に

    予定されています。ソロー作品として参加しますので、ぜひ観にいらしてください。

 

 

 

 

次は、ポウセ役の貞森裕児(SADAMORI Hiroko)さん。

 

彼女も小倉さんと同じく舞踏の舞台で活躍しています。現在、舞踏劇団の開座に所属しており、

来月2月5日から8日まで舞台に立つ予定ですので、そちらもお楽しみに!

 

実は、貞森さんにはじめて黒谷先生の本を紹介してくれたご友人が亡くなったという

一件があったことから、この作品への出演には特別な縁を感じているそうです。

十年前から即興音楽の世界に入り、2000年から舞踏の舞台に立ってきた貞森さんも、

人形演劇は初めての体験です。それでも、いろいろな作品でモノを扱ったことがあり、

その経験からヒントを得たり、逆にそのときにはわからなかったことを今回やっと

感じることができ、さらにいい表現ができたりすることもあるとか。

 

1年をかけて作品をつくりあげた経験もある貞森さん。今回の経験は、

「いろんな分野から集まったメンバーとの共演を、どうやったらすばらしいものに

できるか、どんな世界観を生みだすことができるか、ということを念頭にがんばってきた、

本当に短い期間」でした。

そんな彼女が考える『銀河鉄道の夜』の見どころとは? 彼女のお客さまへのメッセージ

のなかにその答えが見つかるかもしれません。

 

貞森さんのメッセージ!

この舞台には、目に見えていること――たとえば出演者や人形が表現するものの背後に、

何かが存在しています。ため息みたいなものに見えるかもしれませんが、

そのすきまから感じ取られる、目の前の世界を超える何かを観ていただけたらと思います。

まっさらな心で観に来てください。さまざまな人形、オブジェ、人、そしてこれらとは

違う表情を見せる何かが待っています!

 

 

インタビュー 李 洪伊(アンサンブル)

いよいよ来週、『銀河鉄道の夜』の幕が開きます。

劇場にお越しいただく前に出演者のことを知っておけば、もっと楽しめるはず!

ということで、これから数回にわけて、出演者を紹介していきます!

 

まずは、今回が初舞台ということで、とりわけ大きな声援をお願いしたいおふたり、

海津研さんと宮川聖美さんをご紹介します。

 

海津研(KAIZU Ken)さんの本業は、アニメーション制作です。

 

はじめて舞台に立つことになり、誰より緊張しているのではないかと思いましたが、

いらぬ心配でした。目の前に人形がいてくれるから、心強いとか。

ここまでの感想をたずねると、「おもしろい!」という答えが返ってきました。

「自分の姿がどう見えるのか、まだ想像がつきませんが、いままでとは違うことを

しているのは自分だけではありません。黒谷先生にとっても、パフォーマーとして

他人の動きを形にするのは大変な挑戦だったと思います」と、熱心に稽古してきた

日々について語ってくれました。

 

なにをどう感じるのかは、観る人によってさまざまだと思いますが、

「それでいいんです」と彼は断言します。そんな海津さんがどんな活躍を見せてくれるのか、

そしてどんな舞台が誕生するのか、ドキドキ、わくわく、期待に胸がふくらみます。

 

海津さんからのお知らせ!

「海津研のブログ」をぜひ検索して、今まで制作した作品や活動などを見に来てくださいね~

  http://blog.livedoor.jp/kaizuken1/

 

 

 

 

つぎは、宮川聖(MIYAKAWA Masami)さんです。

 

彼女はもともと、照明のお仕事をしていたそうです。

今回は、「明かりパフォーマー」として応募したのですが、半年間の稽古を重ねるうち、

モノを動かすパフォーマーとして舞台に立つことになりました。

 

芝居の仕事をしてきたとはいえ、宮川さんにとっても舞台に立つのは今回がはじめて。

初舞台ながら、どうやってたんなる「モノ」を「生きもの」にするのかがいちばんの

課題であり、本作品の見どころだ、と作品への思いを熱く語ってくれました。

「本当にちょっとしたことで、本当に些細なことで、モノが生きものになるんです」

モノを扱う苦労を口にしながらも、観客のみなさまへのメッセージをたずねられると、

満面の笑みで、「とにかく頑張るだけです!」と答えてくれました。

 

 

 

 

インタビュー 李 洪伊(アンサンブル)

アンサンブル第7回公演 人形演劇『銀河鉄道の夜』が、いよいよ来週開幕します!

そこで、今回作劇と演出をお願いした黒谷都さんに、

作品について、人形演劇というものについて、熱く語っていただきました。

 

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――人形演劇とほかの演劇のちがいはなんですか?


 舞台表現という点では同じですが、観客に見られるモノと、そのモノの動力が別だというところに、

人形演劇の大きな特徴があると思います。


――出演者は、人形を操るだけですか?


 いいえ、それだけではありません。人形と人形遣いは、2つでありながら1つの存在。

不可思議な共同生命体のようなものだと考え、それをもとに舞台をつくっていきます。


 

 

――今回、なぜ『銀河鉄道の夜』を?


 まずは、非常に魅力的な作品であること、そして「命」に対する思いが強い作品であることから選びました。

私は、生も死も一続きの「命」だと考えたいんです。なかなか簡単ではないですが。

誕生以前や死後も、ひとつの「命」の表れ方だ、と。その点が、この作品からひしひしと伝わってきます。

「いまここにいる私は、私という現象でしかない」という宮沢賢治の考え方には、ものすごく惹かれます。

――今回、人形として登場するのはカムパネルラとジョバンニだけですか?


 いえ、ほかにも登場しますが、カムパネルラとジョバンニは「役者として存在する人形」であり、

ほかの人形は、「人形として存在する人形」というふうに考えています。


――セリフはあるのでしょうか?


 まったくないわけではありませんが、セリフによって芝居が進行する形はとりません。

人形演劇のいろいろな要素、手法、おもしろさをあれこれ採り入れながら、

いままでにない斬新な作品にしたいと考えています。


――人形演劇の手法とは?


 たとえば手に人形をはめる片手遣い人形、糸で操るマリオネット、

文楽のような抱え遣いの形態など、さまざまあります。

どれも素敵です。今回いろいろ盛りこみますので、観客のみなさんにも、

そのなかでお気に入りを見つけていただければと思います。


――今回、市民参加のアンサンブル公演ということで、出演者はオーディションで選ばれ、

8月からワークショップ(WS)を行っていますが、みなさん稽古ではどんな様子ですか?


 楽しむと同時に、苦労もしています(笑)。

すでに人形演劇のプロとして活躍している人もいれば、モノとの関係づくりなんてはじめてだ、

という人もいますが、稽古場の雰囲気は最高です! 

みなさんすごく熱心で、毎週1回のWSに加え、自主稽古もしょっちゅう行っています。

半年という期間は、市民参加のWSとしては長いですが、なにかを究めるには短すぎる時間です。

でもその中からプラスの要素を引き出せるよう、がんばります。


――チェコへ人形演劇の勉強に行かれたそうですが、チェコと日本のちがいは?


 とにかく自由度がちがいます! チェコの人形演劇界は、なんでもアリです。

たとえば20代の私は、「見えない」前提の黒子の出遣いに大きな疑問を抱き、

人形遣いもひとりの出演者と考え、衣裳を着て舞台に立ちはじめたのですが、

チェコでも同じころ同じような動きがあったんです。

ところが同じことをやっても日本では「目立ちたがり」と批判され、

チェコでは「人形演劇の変革」として展開していった。

どうしてかと言えば、チェコの場合、完成度が半端ではないからです。

チェコに行って、自分の思いを実現させるためのストイックさというものを学びました。

あと、演じる側だけでなく、観客もちがいます。

なにも見逃してなるものか、とばかりに食い入るような視線をぶつけてくるので、

演じる側はそれ以上のパワーが要求され、おのずと鍛えられます。


――やはりチェコの人形演劇界は、日本とは違って奥が深いのでしょうか?


 日本の人形演劇は、とても奥が深いですよ。

ただ現在、人々の生活の中にどう位置づけされているかというと、少し違いが浮かび上がりますね。

チェコでは歴史を担った重みと共に、現在でも人形演劇がとても大切にされていて、

各町に人形劇場がたいていひとつはあるんですよ。

それに、チェコ人にとって人形演劇はちっとも特殊なものではなく、ひとつの舞台表現として

一般的に受け入れられています。だから演劇一般のなかでもまれてきた骨太さがあると思います。


――人形演劇の一般的なとらえ方は、チェコと日本ではずいぶん違うんですね。


 日本は人形演劇がとても盛んな国なのに、演劇界に身を置く人間でも、人形演劇は観たことがない、

という人がとても多いです。

著名な演出家に、人形遣いはたんに人形を動かしているだけかと思っていた、と言われたことがあります(笑)。

日本の人形遣いは非常に優れています。

アジア人が持つ「モノに精霊を降ろしてくる力」や器用さなどはとてもレベルが高くて、

じつはヨーロッパでも注目が集まっているんです。

人形演劇をつくる「頭」とそうしたアジアの「心」が一緒になって、非常にいい東西融合が立ち上がっています。


――今回せんがわ劇場で上演されるのは、どんな人形演劇なのでしょう?


 なじみのある「人形劇」という呼び名ではなく、少し堅苦しく聞こえる「人形演劇」としているのは、

日本ではどうしても「人形劇=子ども向け」というイメージがつきまとうからなんです。

もっと大きく、「人の形が演じる劇」と認識していただきたいと思って。

そして「人」とは、五体満足なものだとはかぎりません。

もっともっと、拡大解釈してほしい。じつは子どもは、そのへんを感覚でわかっていますよね。

かつて子どもだった大人も、忘れているだけで、そういう感覚を持ち合わせているはずです。

だから今度のお芝居も、理屈ではなく、目の前で起きていることをそのまま受け入れて、

感覚的に楽しんでもらいたい。と同時に、細かいところに暗号がちりばめられているので、

それをひとつずつ読み解いて、大人だからこその「知的な」楽しみ方を味わっていただきたいです。

何度観ても、そのたびに新たな発見があるはずです。


感覚的と知的は相反するものではなく、2つで1つ――人形と人形遣いのよう(笑)――

に機能してはじめて全開だと思うんです。そういう「人形演劇」の舞台をお目にかけようと思っています。


――最後に市民のみなさんにメッセージをお願いします。


 私の舞台は、いわばヨーロッパスタイルと、アジアのアニミズムを融合させた舞台表現です。

おそらく観客のみなさんが「人形劇」という言葉からイメージされるものとは大きく異なり、

とても新鮮に映るはずです。「人形劇」という既成概念から自由に解き放たれた、

「見えない命が形に宿り、劇を演じる」私流のやり方。真っさらでオープンな心でお楽しみいただければと思います。

ぜひ観に来てください。

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☆☆いかがでしたか!?

いままでみなさんが抱いていた「人形劇」の概念とは、大きく異なる舞台になりそうで、すごく楽しみですね!

チケット絶賛発売中です。お電話でも予約を受け付けておりますので、

ぜひせんがわ劇場で、新しい「人形演劇」の世界に触れてください!!

せんがわ劇場(チケット電話予約) 03-3300-0611