6月日に行われたサンデー・マティネ・コンサートVol.126様子ライターであり、市民サポーターでもある才目さんによるレポートでお届けします。


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未来の名演奏家に出会える楽しみ、それもサンデー・マティネ・コンサート(サンマチ)の魅力です。

2014年6月8日は、「未来のホープコンサート」と銘打つシリーズ企画の第16弾。

桐朋学園芸術短期大学専攻科2年に在学中で、

各地のギターコンクールで受賞を重ねる若きギタリスト、渡邊 茜(あかね)さんの登場です。

 

 

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例年よりも早く梅雨入りした関東地方。サンマチの出足も鈍いかと思いきや、場内はほぼ満席の盛況。

「未来のホープ」を応援するサンマチ・オーディエンスの「心」は、やはり熱いようです。

渡邊茜さんは、劇場ホームページ掲載のお写真と違って、ショートカットの髪型でスラリとしたボーイッシュな印象。

笑顔はじける元気なお嬢さんです。

 

演奏は、メキシコのマヌエル・ポンセ作曲「プレリュード ホ長調」から始まります。

中南米のリズム感と色彩豊かな美しい音色。ギター・コンサートのスタートにふさわしい曲です。

続くリョベート作曲「アメリア(姫)の遺言」は、スペイン・カタロニア地方に伝わる民謡に想を得た曲。じっくり語りかけるような演奏です。

同じくスペインの作曲家トローバの「ソナチネ 第1楽章、第3楽章」では、楽しくリズミカルな演奏と、さまざまな表情の曲を情感豊かに弾きこなします。

「オクターブ・ハーモニクス奏法」という美しい響きの奏法を随所に取り入れ、演奏に爽やかなアクセントを加えます。

 

バッハが、自ら作曲したパルティータ第3番をリュート演奏用に編曲した「リュート組曲 第4番」。その最後の曲「ジーグ」は速いテンポの舞曲で、演奏が難しいと言われます。

ラストに弾いたテデスコ作曲「悪魔の奇想曲(カプリチオ・ディアポリコ)」も、超絶技巧奏者・パガニーニへのオマージュとして作曲された「難曲」として知られます。

こうした速いスケールの曲や難度の高い曲を、優雅に流れるように弾きこなす渡邊さん。

テクニックの高さはもちろん、表現力の高さも特筆すべき資質です。

 

後半、武満徹が編曲した映画音楽「シークレット・ラヴ」や「オーバー・ザ・レインボー」の演奏で渡邉さんの表現力が遺憾なく発揮されます。

懐かしいしっとりとした調べが劇場を包み込み、お客様はうっとり。

アンコール曲も映画音楽で決め、耳の肥えたオーディエンスも納得の「サンマチ・デビュー」を飾りました。

 

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日曜午前のミニコンサート「サンマチ」へ、毎回多くのお客様がおいでくださっています。

お客様に接していると、「憩い」を求める方、演奏を聴くのが楽しみという方はもちろん、「若い演奏家を応援したい」とのお気持ちの方も多いように見受けられます。

将来有望なプレーヤーの演奏を間近に聴き、飛躍を後押しする。演奏家はお客様の期待を胸に、さらに腕を磨き、世界へ羽ばたく。お客様は、応援した演奏家が世界に雄飛したことを知り、それを「誇り」とする---。

そんな“好循環”が生まれるのも、せんがわ劇場・サンマチならではの魅力といえるでしょう。

 

優れた若手演奏家を発掘・紹介し、市民の皆さんとともに応援する「サンマチ・未来のホープコンサート」。

これからも「未来の大器」との出会いに期待が高まります。

 

(取材・文/ライター 才目)

 

525日に行われたサンデー・マティネ・コンサートVol.125の様子をライターであり、市民サポーターでもある才目さんによるレポートでお届けします。

 

 

2014年5月「サンマチ」Vol. 125は、読売日本交響楽団の首席オーボエ奏者・蠣崎(かきざき)耕三氏をお迎えしました。

ピアノ伴奏は三輪 郁さん。

ベスト・コンビによる待ちに待ったオーボエ・ミニコンサートは、早々に満員御礼。

日本を代表する演奏家の卓越した「技」に陶酔し、清らかな音と音楽に心洗われる「至福の朝」となりました。

 

 

毎回お越しくださる“常連”のお客様に加えて、

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「今回のサンマチは絶対聞き逃せない」と駆けつけてくださった音楽ファンの方々。

開演前から満席の劇場内に静かな熱気が満ちあふれます。

 

フランス印象派の名曲・ドビュッシーの「夢」から始まった「オーボエの世界」。

華麗な音色が響きわたると、早くも聴衆は夢見心地の境地に誘われます。

 

2曲目は、サン=サーンスが晩年に作曲した『オーボエ・ソナタ』第2楽章。

フランスの田舎で村人がお祭りで踊っているようなリズムと曲想に乗って、蠣崎氏の技巧が披露されます。

牧歌的な田園風景がまるで目に見えるような素晴らしい演奏です。

 

それにしても何という滑らかな音、清らかな響きでしょう。

「家路」の別名で知られるドヴォルザーク『新世界より』第2楽章の独奏部分など、オーケストラ演奏の中でオーボエの音を聴くことはあります。

しかし、単体でオーボエの音色をこれほど身近に聴くことができるチャンスはめったにありません。

 

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数ある楽器の中でももっとも演奏が難しいと言われるオーボエ(「難度はギネスブック級」との説もあるそうです)。

「サンマチ」司会役のせんがわ劇場・萩原景子さんの進行とともに、「オーケストラが演奏を始める前、音合せをしますよね。その基準音(A;♪ラ)を出すのがオーボエなんです」と、蠣崎氏の分かりやすい楽器解説が入ります。

 

オーボエの特徴は、2枚のリードによって音をだすダブルリード式の木管楽器であること。

リードは「オーボエの命」。楽器をめぐって、蠣崎氏と萩原さんの楽しいトークが展開します。

「リードは自然素材です。ケーンという葦(あし)の一種を取り寄せ、演奏者自身が削り、金属管に糸で巻きつけ、手作りします。

このリードの出来によって、オーボエの音色が決まります。1日4時間練習するとして、3時間半はリード削りと調整です」と蠣崎氏。会場から「へぇー」と驚きの声が上がります。

 

ピアノ伴奏をしてくださった三輪 郁さんも加わり、今回の「サンマチ」はトークも大盛り上がり。

ウィーン国立音楽大学出身の三輪さんは、ウィーン・フィルの主席演奏者たちから絶大な信頼を寄せられる国際的なピアニスト。蠣崎氏のたっての希望により共演が実現し、オーボエの音色にさらに華を添えます。

 

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続くドビュッシー「小舟にて」、ラストにはプーランク『オーボエ・ソナタ』第1楽章と、

今回の演目は、「料理で言えばデザート・ヴァイキングですね(笑)」と演奏家が言うように、おいしいところをギュッと詰め込んだようなフランスの作曲家の曲が多く取り上げられました。

そのせいか、間に演奏されたイヴァン・リンスの「ラヴ・ダンス」、アントニオ・カルロス・ジョビンの「ルイーザ」、

これらブラジル生まれのバラード曲も雰囲気が違ってたいへん美しく聴こえます。

 

しかし、なんといっても真骨頂はアンコール曲でした。バッハ作曲カンタータ第156番(アリオーソ)。

長いフレージングを要求するこの曲を演奏し切る、その技倆の高さは見事というほかはありません。

お客様は、オーボエの深みのある音色にさらに心打たれ、癒やされた様子。

このアンコール曲に思い入れのある方も多かったようで、蠣崎氏の演奏をもっと聴いていたという思いが募ります。

 

幸せな時間は短く感じるもの。あっという間の1時間。称賛とともに、「満足」「もっと聴いていたい」の思いが入り混じったお客様の拍手は、演奏家にしっかり伝わったようです。またの機会を心待ちにいたしましょう。

 

 

若手音楽家のフレッシュな演奏、世界の珍しい楽器の紹介、そして今回は日本屈指の「ヴィルトゥオーゾ(達人)」の演奏。

さまざまな趣向で市民に「贅沢な時間」を提供してくれる、せんがわ劇場の「サンマチ」。

これからも日曜朝の好企画にご期待ください。

 

 

(取材・文/ライター 才目)
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5月24日に行われたファミリー音楽プログラムvol.13≪子どものための演奏会入門~はじめてのオペラ~≫の様子をライターであり、市民サポーターでもある才目さんによるレポートでお届けします。

せんがわ劇場は「次世代を担う子どもたち育成事業」に2011年より取り組んでいます。
ファミリー音楽プログラムはその一環で、前回の「おやこ楽器体験ツアー」に続く今回のテーマは、「オペラ」。
市内の5歳~小学生と保護者を対象に、敷居が高いと思われがちな「オペラ鑑賞」への入門講座です。
入場無料・予約制で、今回も多くの親子・ご家族連れがお越しくださり、はじめてのオペラ演奏会を堪能されていました。

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「明るく楽しく、ためになる」せんがわ劇場の音楽事業。
今回の講師は、せんがわ劇場音楽コーディネーター・松井康司(まついやすし)先生です。


●街の中心にある劇場でオペラを毎日上演

第一部「オペラを知ろう!」は、オペラって何だろう? という視点で、オペラ劇場(オペラハウス)の説明から始まります。

「音楽の都・ウィーンやミラノ、パリではオペラハウスは街の中心にあって、オペラの公演が毎日あります」と松井先生。
「ヨーロッパではオペラが文化の最上位にあり、国をあげて大切にする伝統がある」とのこと。
そういえば、第二次大戦後、オーストリア・ウィーンの人々は「戦後復興の象徴」としてオペラ座の早期再建を願ったといわれます。

「オーケストラは舞台と客席の間で一段低くした“ピット”に入っています。もともとオーケストラは、主にオペラの伴奏をする演奏形態。ウィーン・フィルですら普段はあまり目立ちません(笑)。
オペラハウスの舞台は4面あるものもあって、素早く場面チェンジができるようになっています。舞台装置や美術、衣裳に贅の限りを尽くします。こうした劇場で、オーケストラが演奏する音楽に乗せて、歌い手がすべてのセリフを歌で表現し、ストーリーが展開する劇、それが『オペラ』なのです」。

まさに総合芸術。本場ヨーロッパで観るオペラはどんなにか華やかでしょう。その一端を、今回出演してくださった声楽家の皆さんが実演してくださいます。取り上げる演目は、モーツァルトの歌劇『魔笛』や『フィガロの結婚』、プッチーニの喜歌劇『ジャンニ・スキッキ』、などなど。名場面の実演を交えながら、オペラの「声」や「歌唱法」についての解説が入ります。


●オペラは歌はもちろん、演技力も大切

「女性の高い声がソプラノで、お姫様などを演じます。少し低い女声は、メゾ・ソプラノ、アルト。こちらはおばあさんや魔女を演じます。男性の高い声はテノールで、王子様役。低い声はバリトン、バスで、おじいさん役。声の高低で演じる役が分かるのです」(松井先生)。

ここでクイズが出されます。出演者がモーツァルト「夜の女王のアリア」、フンパーティンク「魔女の歌」、プッチーニ「私のお父さん」をそれぞれ歌い、声の高さから役を当てます。子どもたちがほとんど正解したのには、びっくり。すっかりオペラの世界の約束事に馴染んできたようです。

「オペラには4種類の歌唱法があります。お話しの中で人物が気持ちを歌い上げるアリア。ちょっとセリフっぽく歌うレチタティーヴォ。二人以上でハーモニーを聴かせる重唱、そして大勢で歌う合唱です」。

専門用語を実演で解説します。テノールで聴かせるアリア「王子タミーノの歌」(『魔笛』より)。レチタティーヴォは、コミカルな演技を交えた「ケンカの二重唱」(『フィガロの結婚』より)。ソプラノとメゾ・ソプラノが皮肉のこもったやりとりをする喜劇の場面で、なるほど、オペラは歌だけでなく、演技も大切なのだと分からせてくれます。

「レチタティーヴォでは、モーツァルトが書いた楽譜はほんの少し。伴奏のピアノも即興演奏をして劇を盛り立てます。ピアニストが演技に合わせて細かく音を入れているのが分かりますね」など、歌と演技と音楽が緊密に連携して劇としてのオペラを構成していると、松井先生の熱心な解説が続きます。


●「乾杯の歌」に始まり「乾杯の歌」で終わる

休憩をはさんで、第二部は「アンサンブルの楽しみ」です。本格的な重唱が楽しめます。

まず、モーツァルトの歌劇『魔笛』で有名な「パパパの二重唱」。パパゲーノとパパゲーナが「パ・パ・パ・・・・」と互いに呼びかけ合い、喜びを歌い上げます。

続くプッチーニの歌劇『ラ・ボエーム』より、第3幕の四重唱。愛し合いながら別れを覚悟する二人と、ののしり合いながら喧嘩別れする二人。二組の対照的なカップルの対照的な別れを「四重唱」で描いた名場面、プッチーニの傑作です。

そして、ビゼー作曲の歌劇『カルメン』より五重唱でフィナーレ。ヨハン・シュトラウスの「乾杯の歌」(喜歌劇『こうもり』)から始まった今回のレクチャー、最後はヴェルディ『椿姫』の「乾杯の歌」をアンコールでお贈りし、締めとなりました。

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まさに“オペラに乾杯”する午後のひと時。それにしても年少時に「オペラ」に触れるとはなんと贅沢な体験でしょう。
子どもの頃の劇場での音楽体験は、原体験として感性に刻まれるでしょう。もしかしたら、オペラに病みつきになってしまう子どもたちも出るかもしれません。オペラの奥深い魅力を垣間見せてくれた本格的な演奏会とレクチャーでした。

(取材・文/ライター 才目)

今年度で6年目を迎えた「サンデー・マティネ・コンサート」。5月11日に行われたvol.124≪世界の楽器シリーズ「アルパ」≫の様子をライターであり、市民サポーターでもある才目さんによるレポートをお届けします。

「サンマチ」の愛称で市民に親しまれている「せんがわ劇場サンデー・マティネ・コンサート」
(マティネはフランス語で「午前」の意味)。

本年度、金管5重奏の晴れやかなファンファーレ&演奏で幕を開けた「サンマチ」は、劇場開館7周年を迎え、通算120回をこえる公演を続けてまいりました。まさに「継続は力なり」。演劇とならび、音楽文化の普及育成と発信に取り組むせんがわ劇場を代表する事業のひとつです。毎回いらっしゃる“常連”のお客様、ご家族連れのお客様もおいでになり、市民の期待の高さを感じる恒例プログラムとなっています。



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●中南米生まれのハープ「アルパ」を弾き、歌う

さて、5月連休明けの「サンマチ Vol.124 」は、「アルパ」というハープの一種を弾きながら歌を歌う、アルパ奏者にして声楽家である池山由香さんのご登場です(当劇場には2回目の出演)。今回もおかげさまで満席となりました。

ハープというと優美なグランドハープを思い浮かべます。一方、「サンマチ」で2013年暮れにご紹介したアイリッシュ・ハープという小振りなハープがあります(当ブログ過去記事ご参照ください)。「アルパ」はこれらの中間の大きさ。重さは10キログラム程度。中南米生まれのハープで、ラテンハープあるいはインディアンハープとも呼ばれます。

パラグアイ産のアルパを携えて颯爽と登場された池山さんは、その衣裳も素敵です。メキシコ南部チアパス州の手縫いの刺繍で、ひまわりや鳥をあしらった鮮やかな緑のワンピース。サーッと、舞台に晴天の5月、新緑の風が吹き渡るようでした。

1曲目は「美しい空」を意味する「シェリト・リンド」(コルテス作詞作曲)の演奏と歌唱。「アイ・アイ・アイ・アイ...」という美しい娘への呼びかけが入るこの曲で、アルパの魅力と池山さんの歌唱力が炸裂します。

指の爪で弾くアルパの音色は、実に壮快で、一聴して中南米の民族楽器的な味わいを濃厚に感じさせます。高い方の音は可憐で華やか。低い方の音はアルパの胴がしっかり共鳴して力強く。この魅力的な音色に池山さんの朗々たるメゾソプラノの美声が重なるのです。

●華麗な演奏テクニックと歌唱の力

続いて「茶摘」をはじめ、日本の初夏の風物詩を描いた曲を弾き、歌い上げた池山さん。ここで、せんがわ劇場音楽コーディネーター・松井康司先生との楽しいトークが入ります。

珍しい楽器や音楽をめぐって、演奏者と先生方の親しみやすいトークが聞けるのも「サンマチ」の魅力のひとつ。何やら「薀蓄」が深まった気がするのです。

トークの後は、アラルコン作曲「5月3日」、カルドーソ作曲「牛乳列車」とアルパの名曲演奏が続きます。「牛乳列車」は、ミルクをいっぱい積んだ蒸気機関車が発車して勇壮に高原を進んでいく様をアルパの音で表します。躍動的な手指と腕の動き、細かなトレモロのテクニックが、今回大勢いらした子供たちの目を釘付けにしていました。


ブランコのアルパ演奏で世界的にヒットした「コーヒー・ルンバ」(ペローニ作曲)、メキシコ民謡「ラス・チアパネカス」と演奏は続きます。身を乗り出して聴き入り、演奏にあわせて手拍子を入れるお客様。舞台と客席の一体感が高まります。「コーヒー・ルンバ」は歌謡曲で耳馴染んでいますが、実は中南米生まれと知り、びっくり。なるほど、アルパで演奏すると実にぴったりくる楽曲なのです。

満場の温かい拍手の中、アンコールで「アメージング・グレース」(ニュートン作詞、賛美歌)を弾き、熱唱してくださった池山さん。最後には「歌唱の力」で聴衆の心をぐっとつかみ、5月の朝にふさわしい爽やかな感動を届けてくださいました。


●「サンマチ」を支える「市民サポーター」

ところで、サンマチ公演でも「せんがわ劇場市民サポーター」の皆さんが活躍しています。開館以来、ほぼ全回参加してくださっている市民の方を中心に、受付や会場案内などを連携して担当。市民に愛されるサンマチの「明るい雰囲気づくり」に貢献し、優秀な若き音楽家の明日への飛躍を応援していることが誇りです。

「サンマチ」はこれからも市民の皆さんとともに充実の内容・ラインナップをお届けしてまいります。本年度もよろしくお願いします。

(取材・文/ライター 才目)

本日、平成26年度のサンデー・マティネ・コンサートがスタートしました!

vol.123の今回は、新年度最初ということで、仙川駅前にてファンファーレが行われました。

今年度は、金管五重奏にてコンサートがスタート。

サンデー・マティネ・コンサートvol.123に出演の、BRASS117 (金管五重奏)さんによるファンファーレ&演奏を披露していただきました。

また、市民サポーターの堀光太郎さんも駆け付けてくださり、道行く方々に、劇場の紹介のアナウンスをしていただきました!

たくさんの方々が足を止めて、晴れやかな金管五重奏に聴き入っていました。

~演奏曲~

「ファンファーレ」 (ヘンデル「水上の音楽」より)

「津軽海峡冬景色」 三木たかし

 
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 せんがわ劇場では、演劇事業とともに音楽事業も行っています。
 今回は、平成25年12月8日に行われたサンデー・マティネ・コンサートと平成26年1月19日に行われた、ファミリー音楽プログラムについて、当日会場でもお手伝いをしてくださっていた、市民サポーターの才目謙二さんによるレポートをお届けします。
 
 
貴重な楽器に触れ、生の演奏に心ゆさぶられる珠玉の体験
サンデー・マティネ・コンサートvol.116 世界の楽器シリーズ「アイリッシュ・ハープ」&ファミリー音楽プログラムvol.12おやこ楽器体験ツアー in 桐朋学園大学

 
 
 せんがわ劇場は、演劇と並んで音楽文化の育成発展にも力を入れています。2011年スタートの「次世代を担う子どもたち育成事業」。その一環である「ファミリー音楽プログラム」は毎回大好評の企画で、2014年1月19日、第12弾では「おやこ楽器体験ツアー」が桐朋学園キャンパス内で開催されました。体験ツアー報告と合わせて「サンデー・マティネ・コンサートvol.116世界の楽器シリーズ アイリッシュ・ハープ」のレポートをお届けします。(取材・文/才目謙二)
 
 
サンデー・マティネ・コンサート vol.116
世界の楽器シリーズ「アイリッシュ・ハープ」
 
 
 せんがわ劇場の「サンデー・マティネ・コンサート」内では、「世界の楽器シリーズ」として普段聴く機会の少ない“希少な楽器”の紹介にも力を入れています。2013年12月開催の「サンデー・マティネ・コンサート vol.116」では、“幻の楽器、金属弦アイリッシュ・ハープ”を紹介。この回はいつにも増して大勢のお客さまがお越しになり、年の瀬の日曜マティネに心なごむ癒しの時間を過ごしました。
 
 演奏者は、気鋭の研究者でもある寺本圭佑氏。2種類のアイリッシュ・ハープ――ガット弦を張った大きめのハープと、やや小ぶりの金属弦ハープを携えての登場です。
 
 ガット弦アイリッシュ・ハープから演奏を開始。まず、その音の柔らかさ、混じりけのない静けさに驚かされます。素朴でありながらも気品に富んだ音色。「スカボロー・フェア」やアイルランド民謡「ダニーボーイ」など耳に馴染んだメロディーが、実に爽やかに聴く人の心に沁みわたります。
 
 歴史の教科書でエジプトの壁画にハープが描かれていたのを覚えている方もいるでしょう。「ハープは人類のもっとも古い楽器です。その伝統がケルト民族に受け継がれ、文字をもたないケルトの人々が神話や叙事詩を吟遊しながら諸国を経巡っていたのです」と寺本氏のレクチャーが入ります。アイルランドの国章に描かれているアイリッシュ・ハープが、欧米ではケルティック・ハープと呼ばれ親しまれているのもそうした歴史からとのことです。
 
 いよいよ金属弦アイリッシュ・ハープの演奏です。その名の通り、細い真鍮弦がコンパクトな弓にピンと張られ、見るからに神秘的な気分を高めます。
 
 400年前の楽譜を再現した珍しい曲など、金属弦アイリッシュ・ハープでなくては弾けない曲が紹介されていきます。極めつけは、カロランという18世紀前半に活躍したアイルランドの国民的作曲家の曲の演奏です。アイリッシュ・ハープの完成者といわれる盲目のカロランが遺した曲は、哀愁に満ち、聴く人の言葉を超えた豊かな情感の世界へ誘います。
 
 スタジオジブリ映画の影響もあって、最近日本でも愛好家が増えつつあるアイリッシュ・ハープですが、生の演奏に接する機会はなかなかありません。金属弦を何度も調律しながら実に繊細な演奏を披露してくださった寺本氏。満席のお客さまからは、素晴らしい演奏への拍手と同時に感謝の拍手も沸き起こっていました。


画像:アイリッシュハープ
金属弦アイリッシュ・ハープを演奏する寺本圭佑氏


ファミリー音楽プログラムvol.12おやこ楽器体験ツアー in 桐朋学園大学
 
●桐朋学園仙川キャンパスで体験ツアー開催
せんがわ劇場にほど近い㈻桐朋学園 仙川キャンパス(調布市若葉町1丁目)。創立60周年を迎えた同学園は仙川文化を象徴する教育機関です。とはいえ、近くに住んでいても「中に入ったことはない」という方も多いようです。
 
「おやこ楽器体験ツアー in 桐朋学園大学」はキャンパス内の教室を使って開催されます。「一度桐朋の音楽教室をのぞいてみたかったけど、普段なかなか機会がなくて」と、真っ先に到着したお母さん。絶好のチャンスとあってか、熱心なご家族が次々と駆けつけました。
 
ご指導いただくのは、せんがわ劇場音楽コーディネーターの松井康司(まついやすし)、合田香(ごうだかおり)両先生。まず、桐朋学園短期芸術大学の視聴覚階段教室で全員が両先生とご挨拶を交わし、趣旨説明を受けます。
桐朋学園で教鞭を執られている両先生のお話はとても楽しくて、早くも子どもたちがワクワクしている様子が伝わってきます。
 
 ガイダンスが終わると、3班に分かれてツアー開始。各班がそれぞれ「箏(そう)」「ハープ」「打楽器」の教室を順に巡っていきます。ハープと打楽器の班は、桐朋学園大学音楽学部の校舎へ大移動。途中、楽器練習中の学生さんにも子どもたちは興味津々です。

●箏(そう)体験教室
松井先生が担当する「箏」は一般に「お琴」と言われます。
「この音色を聴くとお正月だなぁという気分になりますね(笑)。日本の伝統的な楽器ですが、十三絃を基本に、低音部を加えた十七絃、そして伴奏もできる二十五絃など、実は今も進化している楽器なんです」と松井先生。
箏は「一面、二面…」と数えること、独特の楽譜も紹介したあと、学生さんの指導のもと、子どもたちは指に「爪」を付け、順に体験していきます。練習曲は「さくらさくら」。各絃は音の高さが決まっているので、指の運びを教えてもらうと「さくらさくら」の出だしが弾けてしまう子どももいました。
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●ハープ体験教室
「ハープ」の教室では3台のグランドハープがスタンバイ。教室に入るなり、その優美なたたずまいにお母さん方から「わぁ」と歓声があがります。
担当の合田先生は、「優雅に泳ぐ白鳥も水の中で懸命に足を動かしているように、演奏者は結構大変なんです。重いハープを肩で支え、半音階を出すため両足で7本のペダルを操作しながら47本の絃を爪弾きます」と解説。
子どもたちは順にハープを体全体で抱えつつ、絃を爪弾きます。下部が共鳴胴になっているとはいえ、なかなか綺麗な音は響きません。でも、「楽器の女王」と呼ばれる憧れのハープに触れただけでも大満足。お母さん方も順に体験して興奮冷めやらぬ様子。学生さんに「なぜハープ奏者を志したのですか?」と質問するなど、エレガントな「ハーピスト」にも興味をもったようです。
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●打楽器体験教室
「打楽器」の教室は桐朋学園の歴史あるオーケストラ練習場。学生さんがマリンバの楽しい連弾で一行を歓迎したあと、ずらりと並んだ打楽器を紹介します。
打楽器は4種類に大別されます。ティンパニや大太鼓、ボンゴ、コンガなどの太鼓類。ゴング、シンバル、カウベルなどの金物類。マラカス、トライアングル、ギロなどの小物類、そしてマリンバ、シロフォンなどの鍵盤打楽器。それぞれ音を聴かせます。小太鼓は「ボレロ」(ラヴェル作曲)のイントロを演奏。解説が終わると子どもたちは興味をもった打楽器に触れていきます。打楽器は「マレット」と呼ばれるバチの大きさや材質、叩き方によって響きが変わることも楽しい体験でした。
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●感動の輪に包まれたミニコンサート
続いて、今回体験した楽器がオーケストラ練習場で一堂に会し、ミニコンサートが開かれます。演奏するのは丁寧に指導してくれた学生の皆さんです。
まず、箏が現代的な曲を演奏したあと、宮城道雄作「さくら変奏曲」を奏でると、ハープが「さくらさくら」で始まる「日本のメロディー」で応えるコラボレーションを披露。懐かしい旋律がしっとり優雅に響きわたります。箏の音色とハープの音色は意外にも近く、それぞれ絃の倍音が幾重にも重なり合い、教室の天井が空に向かって開かれたような素晴しい音の空間が創造されていきます。
打楽器チームは大きな木琴のようなマリンバを4本放射状に並べてダイナミックな四重奏を展開します。マレット(バチ)が躍動的に舞い、広い音域と柔らかく深い音の響きに聴衆はうっとり。音の波が教室を満たして聴く者を陶酔させました。

学生の皆さんのひたむきな演奏姿勢も子どもたちの心を動かします。子どもたちは耳だけでなく、体全体、五感全部を総動員して、真摯な演奏に聴き入ります。生の楽器の響きを介して生まれる幸せな一体感。感動の輪が確かに生まれたのです。

「このオーケストラ練習場は実は特別な場所です。本学の基礎を築いた斎藤秀雄先生はもちろん、世界的な演奏家、指揮者がここで練習し、演奏しています。世界的指揮者・小澤征爾さんもここでオーケストラ・リハーサルを行ったことがあります」(合田先生)。メニューインやアイザック・スターンも訪れ演奏したという伝統ある教室。音楽の精は、この日、きっと微笑んでくれたに違いありません。
「普段なかなか見たり聴いたりする機会の少ない楽器を、子どもたちに桐朋学園内で体験してもらおう」との今回の企画。松井先生は「幼少期の音楽体験は、人生でかけがえのない価値をもちます。それも、生の楽器・生の演奏に直接触れることが大切なのです」とその意義を述べておられます。
映画「ハリー・ポッター」のテーマ曲イントロで使われ有名になった希少な楽器「チェレスタ」の紹介を最後に終了した今回の楽器体験ツアー。あっという間に過ぎた充実の日曜午後のひと時でした。
せんがわ劇場音楽コーディネーター
合田香先生・松井康司先生

せんがわシアター121 vol.2「紙屋悦子の青春」も、お陰様で大好評の裡に3回の公演を終えることができました。残すは11月5日と12日の2回の公演になります。
今回は、公演を支えて下さった市民サポーターの才目謙二さんによる、初日観劇レポートをお届けします。是非ご覧下さい。


『紙屋悦子の青春』初日観劇レポート

2013年10月18日に初日を迎えた『紙屋悦子の青春』。

大いに笑い、やがて頬伝う涙をぬぐう観客の皆さん。鳴り止まない拍手に何度もカーテンコールで応じる役者たち。舞台と客席が一体となって新しい「劇」の誕生を祝福する公演初日となりました。

松田正隆氏の原作戯曲、手がけるのは演出家であり、桐朋学園芸術短期大学学長でもある越光照文氏。

主張を声高に叫ぶのではなく、誰もが温かい気持ちを共有することで、観終わったあと「本当に大切なもの」への想いを確かなものとする…。
丁寧に作り込まれた劇が、どれほど観る人の心をゆさぶるか。劇のもつ力、高い演劇的成果をまさに実証した「作品」といえます。

 

●「せんがわシアター121」とは

午後7時半という遅めの開演時間を設定して「お勤め帰りの人々」にも気軽に演劇に触れていただこうとスタートした「せんがわシアター121」企画(午後2時開演の回もあります)。本作『紙屋悦子の青春』は、その第2弾となります。

往年の演劇ファンなら、渋谷にあった小劇場で前衛的な作品がロングラン上演されていたことをご記憶でしょう。「せんがわシアター121」は、比較的コンパクトで優良な演劇作品の連続上演をめざした企画です。

 

●勤め帰りに『紙屋悦子の青春』を観る

何かと忙しい現代人。平日の夜、劇を観る余裕なんてあるだろうか? そんな心配をお持ちの方もいるでしょう。実際に「お勤め帰り」に駆け込むようにして劇場入りしたという方(30代男性)はこう話していました。

「1日の仕事を終え、仙川駅を降りて、せんがわ劇場まで急ぎ足。到着すると開演間際。
劇を観るための心の準備ができてないなぁと内心焦っていました。
ところが、照明が入り、役者さんが動きだすと、フワーと劇の世界に連れて行かれたんです。
懐かしい、昔の日本のどこにでもあっただろう生活風景。ちゃぶ台、茶の間、家族、夕飯…。
普段忘れているけど、ああ僕たちはこうして暮らしていたなぁという感覚が自然に呼び起こされて、
本当にそこで暮らしている家族がいるような気持ちになって、すぐ劇に集中することができました」。

時代を再現した舞台セット、きめ細やかな手作りの衣装。
一家の団欒を包み込む照明、さりげないが緻密に設計された音響効果。
老若男女問わず、誰もが持っている「共通感覚」を喚起させる“匠の技”がそこに隠されています。

 

●紙屋家での会話はすべて鹿児島弁

時は昭和20年春。
鹿児島県、八代海に面する出水(いずみ)郡米ノ津町にある紙屋家の茶の間で劇は進行します。
近くに海軍航空隊の出水基地があり、時折、学徒出陣で召集された士官たちが紙屋家に出入りしていました。紙屋家は、3月10日の東京大空襲で父と母を亡くしたため家督を継いだ兄・安忠と嫁・ふさ、妹の悦子の3人家族。ふさと悦子は女学校の同窓生でもあります。

紙屋家での会話をすべて鹿児島弁として上演することに演出家はこだわりました。
原作台本に手を入れ、出水で生まれ育った演劇人の方言指導を受け、完璧を期すという念の入れ方。熊本や長崎出身の若い海軍士官の九州弁も同様です。生活感に密着した方言のリアルさも、観客の「共通感覚」を呼び覚ますのに一役買っています。

 

●大いに笑い、やがて涙する観客たち

紙屋家玄関の桜が芽吹き、そして散りゆくまでの間。
兄夫婦の仲が良いがための喧嘩や、悦子とのお見合いの席で緊張する若い士官のコミカルな掛け合い。この劇には笑いを誘うシーンがいくつもあります。観客は大いに笑い、あるシーンでは「グー」とお腹を鳴らしながら、やがて切ない思いに涙がこみ上げてきます。

この時、戦争の足音は紙屋家にも迫っていました。
連合軍の沖縄上陸は昭和20年4月1日。日本軍は迎え撃つ手立てもなく、「沖縄奪回」をうたった無謀な特攻出撃を敢行。4月6日には航空総攻撃「菊水作戦」を発令するにいたります。

兄・安忠の高等学校の後輩であり、悦子とひそかに好意を寄せ合う明石少尉は出撃の日の近いことを察し、特攻志願を決意。自機の整備を受け持つ「同期の桜」、永与少尉を悦子に紹介します。
ほがらかに笑みを浮かべ出撃の報告をする明石少尉。しかし、「どうかお体、ご自愛ください」と泣き崩れる悦子に、その胸は引き裂かれます。

悦子を愛しく思う心の痛みに耐えきれない明石。明石の出撃を見送り、遺志を継いで悦子を守りぬくことを誓う永与。「日本がどんなことになっても、ここで待っています」と答える悦子。残された二人に桜が散りかかります。
渾身の演技を見せる俳優たち。胸がギューッと締め付けられるような「切ない」気持ちの最大級をこの劇は体験させてくれるのです。

IMG_4878.JPGのサムネール画像

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紙屋悦子(福島梓)

 

●現代と呼応し、「時代を問う」作品

最後に特筆したいのは、敗戦の色濃い昭和20年と、68年の歳月を経た平成25年の現在とが、この劇において互いに呼応しているということです。
鍵は、戦後を夫婦として生き、老境に達した現在の老永与と老悦子の演技です。
死期を予感し、介護に当たる老悦子を優しく気遣いながら、桜や雲、波の音に戦争の「あの頃」を思う老永与の演技は、出色の出来。戦後とは何だったのか、私たちは大切なものを置き忘れてきたのではないかとの痛切な問いを投げかけます。

まさに「開かれた問い」を、静かに、現代を生きる私たちの胸に届ける作品です。

「静かな劇」の先駆けと言われ、後に映画化もされた『紙屋悦子の青春』ですが、丁寧に、丁寧に作られた本作は、この名作に新たな境地を拓いたといえるでしょう。

ぜひ多くの方がせんがわ劇場に足を運び、同じ時間を共有していただけることを願っています。

 

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写真:青二才晃

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せんがわシアター121 vol.1「戦場のピクニック」も6月26日(水)の公演を残すのみとなりました。
今年2月のリーディング公演、そして今回の演劇公演の舞台稽古、そして本番を支えて下さった市民サポーターの鬼弦さんによる観劇レポートをお届けします。
是非ご覧下さい!

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第4回目のせんがわ演劇コンクールも熱気のうちに幕を閉じ、新鮮な可能性を感じさせる2日間は忘れがたいものとなりました。

さて、せんがわ劇場レパートリ

ー公演「戦場のピクニック」も12日で4回目の公演となります。

この間、リーディング公演、舞台稽古、本公演と関わることがで きました。
 

リーディング公演を、洋服制作に喩えるなら、まずデザイン画を元に型紙を起こし、シーチングと言われるざっくりした木綿の布で縫ってみる過程にも准えることができましょう。その段階でもデザインの素晴らしさはわかるのですが、更に細部を修正し、実際の制作になります。

同じデザインでも生地を何にするか、霞のようなシフォンなのかしゃりっとしたタフタなのか、或いはさらりとした麻なのかでだいぶ印象は変わります。

柄が入るのか、刺繍やレースのような飾りがあるのかなどなど、デザイナーのイメージを現実のものにしていく作業が積み重なって、オートクチュールの華やかな舞台が完成します。

 

「戦場のピクニック」では、リーディング公演で感じた骨太な印象は変わらぬものの、舞台稽古、本公演を通して、その繊細な部分が見えてきます。

臆病なザポの戦争との向き合い方は可笑しみと痛々しさが相半ばしています。テバン氏とテバン夫人は気のいい両親ですが、戦争に対しては暢気過ぎるかもしれません。家族間の会話には少し愚かな印象を持つかもしれません。

彼らは私たちと同類です。

あなたにも見覚えが、或いは心当たりが有るのではないでしょうか。

不安を紛らわすために無意味なことをする人間。

親しい人への愛のためにその場にそぐわないことをしてしまう人間。

いつまでも我が子を子供扱いしてしまう母親。(もう戦争に行くような年になっても。)

なんでも笑い話にしてしまう人間。(人の生き死にや戦場についても。)

危機というものを認識しない都合の良い人間。

でも、愛すべき隣人たち。彼らの不幸や悲惨を望んだことなどないのです。冷酷に遠くで見ているのは私達と同類ではありません。

「賢い人間」は戦場になど行きません。

 さて、周囲をよくご覧なさい。

私たちは爆発音が次第に近くなるなかで、レコードをかけて踊っているのではありませんか?

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 せんがわシアター121の第1弾、「戦場のピクニック」初日が、いよいよ2日後に迫りました!

この作品を2月にリーディング公演として上演した際、舞台稽古を見学した市民サポーターの鬼弦さんによる見学レポートをお届けします。

ぜひご覧ください!

 

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「戦場のピクニック」  の舞台稽古を 25日に見学した。

スペインのフェルナンド・アラバール作品。この作品が息長く演劇人によって取り上げられているのは、登場人物の会話によって場面を構築していく演劇的な面白さとともに、表現する人間を刺激せずにはおかない内容があるからだと思う。

演劇は何のためにある?演劇に何が出来る?

「演劇」を「絵画」に差し替えても構わない。或いは「文学」に。今の時代に何が出来るのか。

 

昨年12月に上演した「アンデルセンの卵」と共に、このリーディング公演でも、その回答の一つを見ることができた。

衣装も装置もシンプル、俳優は座ったまま台詞と控え目な表情だけで演じる。それがリーディング公演だ。

しかし、訓練を積んだ俳優の力は素晴らしく、目を閉じて耳を澄ますと、生々しく動きが、情景が浮かんでくるのだ。

 

舞台はスペイン内戦の戦場。左派の人民戦線政府とフランコ率いる右派の反乱軍が争い、親兄弟、友人、隣人が敵味方に別れ、熾烈な殺し合いに身を投じ、やがてファシズムが台頭することになる。

その戦場に若い一人の兵士がいる。爆弾の炸裂する音、機関銃の音が支配する中で怯えている。やがて、その音が遠ざかると若い兵士が編み物を始める。しばらくすると兵士の両親が飲み物や食べ物を持ってやって来る。

人の良さそうな両親は戦場にもかかわらず、息子と共にピクニックを楽しみ、日常的な会話を交わす。そこへ敵兵が現れ、捕虜になる。二人とも若い、名前はザポとゼポ。まるで双子のような名前だ。戦場で敵を殺すことに畏れを抱く感性も、戦場という場で自らの心を鎮めるために編み物や造花作りをするのも同じだ。

なぜ敵なのか、なぜ殺し合うのか、彼らにも私たちにも分からない。普通の市民には分からない理由で、戦場に引っ張り出され、互いに銃を向けなければならない。

4人は穏やかにピクニックを続ける。スペインの舞曲をレコードで流しながら。

だが、この芝居にハッピーエンドなんてあり得ない。戦場に家族が現れることも、ピクニックをすることも、敵兵と理解し合うことも、あり得ない。戦場でただ一つリアルなのは殺し合うことだけだ。敵が居なければ戦場も殺し合いも成立しない。

敵は憎悪はどこから生み出されているのか。

私たちが戦うべきなのは何なのか。彼らは問いかけている。

 

演劇に何が出来るか。優れた演劇は坑道に伴われるカナリアのようなものかもしれない。

 

 (文 市民サポーター:鬼弦千枝子)

3月24日「サンデー・マティネ・コンサートPlus vol.3」が開催されました!

チケットは完売・・・たくさんのお客様が来場されました。

桐朋学園にゆかりのあるチェリスト長谷川陽子さん・ピアニスト鷲宮美幸さんの演奏です。

仙川から世界で活躍するアーティストによるコンサート、迫力ある演奏に会場は魅了されました!

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 写真提供:長谷川陽子とチェロ好き広場 “ひまわり”

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